研究課題/領域番号 |
21K09321
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
生田 国大 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (40732657)
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研究分担者 |
西田 佳弘 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院教授 (50332698)
酒井 智久 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (40821971)
小池 宏 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80846080)
伊藤 鑑 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (50880308)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 神経線維腫 / PDXモデル / drug repositioning |
研究実績の概要 |
神経線維腫症1型は疼痛、醜状、機能障害をきたしうる神経線維腫が多発性に生じることを特徴とする遺伝性腫瘍症候群である。神経線維腫は全身のあらゆる部位に発生し、その数・大きさが経年的に増加する。これらは患者Quality of life の低下につながるが、悪性腫瘍ではないために研究開発の対象となりにくく、現在まで保険診療による薬物治療はない。一方、本邦の患者数は4万人であり、手術切除以外に治療選択のない神経線維腫に対する薬物治療・予防治療の開発へのニーズは非常に高い。本研究では、神経線維腫症1型患者に発生する神経線維腫に対する実現可能な新規治療法の基盤データの構築を目指す。研究実績として、令和3年度は主にPDXマウスモデル作製に注力した。令和3年度に神経線維腫の切除術を受けた神経線維腫症1型患者から採取した腫瘍組織を断片化して重症免疫不全マウスに異種移植した。一般に軟部肉腫のPDXモデルは生着達成の判断までに数ヶ月かかることも稀ではなく、良性腫瘍である神経線維腫は増殖速度も遅く生着率もよくないことがわかった。そのため、現状はPDXモデル確立に難渋しており、生着が向上するための工夫を試みている。Drug repositioning法をはじめ、in vitro実験は神経線維腫の培養細胞の継代が安定することが必須である。現状では神経線維腫細胞は継代早期に形態変化をきたし実験すべきタイミングと細胞量が見合わないため、in vitro実験を開始できていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
神経線維腫は良性であるため、継代による培養細胞の老化、膨化が著しい。研究対象とできる継代が限られており、冷凍保管後の発育も不良であるため実験効率が悪い。培養液や保管条件(保管mediumの変更や温度条件設定)について見直す必要がある。研究立案時は3系統の培養細胞の確立を目指していたが、より多くの対象患者を要する見込みである。同様の理由でPDXモデルの生着にも難渋している。これらの理由により、令和3年度の研究進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞の安定した継代の条件を確立して、体系的なin vitro実験を実施できるよう務める。PDXモデルについては、重症免疫マウスよりも生着率が見込める系統のマウスへの移植を試す。移植の際の基材としてのゲルが課題となると考えている。令和4年度における進行具合では、市販で入手できる細胞株を購入してin vitro実験を選考していくことも検討するが、臨床情報が揃う自施設での培養細胞継代の安定化をしばらくは優先していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として、コロナ禍によるweb開催への変更により令和3年度に予定していた旅費を計上していないこと、研究の進捗に遅れが生じていることが挙げられる。使用計画として、PDXマウス購入のための費用や継代および培養細胞確立などin vitro実験に伴う試薬・消耗品が見込まれる。
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