現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は下記の結果を既に得ており、課題はおおむね順調に進展していると考えられた。悪性軟部腫瘍(Soft tissue sarcoma: STS)の原発巣と肺転移巣の免疫プロファイルの違いに関する報告はほとんどないため.本年度は,STS症例の原発巣と肺転移巣の腫瘍浸潤リンパ球を評価し,その特徴や臨床成績との相関を解析した.
当施設で肺転移巣の切除を行われたSTS患者43例(平滑筋肉腫12例,未分化多型肉腫9例,滑膜肉腫6例,悪性末梢神経鞘種4例,脂肪肉腫4例,孤立性線維性腫瘍3例,粘液線維肉腫3例,胞巣状軟部肉腫2例)を対象とした.原発巣の生検または外科的切除標本および肺転移巣の外科的切除標本を用いて,CD4,CD8,FoxP3,CD20,CD56,CD68,CD163,PD-1,PD-L1に対する免疫組織化学的染色を行った.評価は,異なる5視野(400倍)での陽性細胞数を合計する事で行った.低浸潤群と高浸潤群で,overall survival (OS)の比較検討も行った.
原発巣ではCD8陽性細胞が多く(32.4 vs 22.6, p=0.02),肺転移巣ではFoxP3(23.4 vs 14.3, p=0.002),CD68(32.6 vs 22.4, p=0.02),CD163(20.5 vs 13.0, p=0.02),PD-L1(19.4 vs 15.0, p=0.02)陽性細胞が多かった.Pleomorphic sarcomaとTranslocation-associated sarcomaの比較では,CD8陽性細胞のみ前者で有意に多かった(30.6 vs 20.8, p=0.03).OSの中央値の比較では,いずれの分子でも低浸潤群と高浸潤群の間で有意な差はなかった.
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