研究課題/領域番号 |
21K09341
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
三宅 秀明 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60379435)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 腎細胞癌 / I0 drug / TKI / 耐性獲得機構 / 新規治療 |
研究実績の概要 |
令和3年度における本研究は、研究計画書に従い順調に推移した。まず、マウス腎癌細胞株RenCaを同系マウスの皮下に移植後、IO-TKI comb Tx(マウス抗PD-1抗体+アキシチニブ、マウス抗PD-L1抗体+アキシチニブ)を施行し、皮下腫瘍を採取、細切後、再度同系マウスの皮下に移植し、IO-TKI comb Txを施行するというステップを繰り返すことにより、IO-TKI comb Txに対する抵抗性を徐々に高め、最終的に同療法に対する耐性を獲得したin vivo腫瘍モデルを確立した。上記の方法で確立したIO-TKI comb Tx抵抗性腫瘍および母細胞株由来腫瘍を、同系マウスで増殖させ、無治療あるいはIO-TKI comb Tx施行直後に採取した腫瘍の計4種類の腫瘍組織を対象に、Akt、MAPK、STAT3、JNK等を介するシグナル伝達経路の主要分子の活性化の評価に加え、チロシンキナーゼ活性を有する種々の受容体蛋白のリン酸化をRTK Phosphorylation Antibody Arrayを用いて評価した。その結果、耐性株においては、docetaxel暴露の有無にかかわらず、AktおよびMAPKが恒常的にリン酸化されていることが明らかとなった。現在、4種類の腫瘍組織におけるアポトーシス、EMTおよび免疫(免疫チェックポイント関連分子、抑制系免疫調整因子および抗原提示分子等)関連分子の発現レベルをWestern blotting、免疫組織化学染色等により評価を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記した通り、IO-TKI comb Txに対する耐性を有するin vivo腫瘍モデルを樹立し、さらに耐性獲得機序の一端を明らかにすることが出来た。以上より、本研究は概ね順調に進展していると判断するものである。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要に記した現在施行中の評価を継続し、複数のマウス悪性腫瘍細胞のcDNA microarrayを用いて、4種類の腫瘍組織における網羅的遺伝子解析を施行する。 次いで、昨年度および今年度以降の研究結果に基づき、RCCのIO-TKI comb Txに対する耐性獲得に重要な役割を果たす可能性のある分子の同定を目指す。さらに、本研究では、それらの候補分子の活性を阻害し、IO-TKI comb Txに対する耐性克服を目指した新規治療の確立に向けた検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
繰越金が生じた理由としては、研究そのものが順調に進捗したため、試薬等の購入費が予定額を下回ったという点と、当科研究室において既に所有していた物品を本研究において使用したという点が挙げられる。今年度においては、試薬および消耗品等で予定通り使用する見込みである。
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