マウス腎癌細胞株RenCaを用いて確立したIO-TKI comb Tx(マウス抗PD-1抗体+アキシチニブ、マウス抗PD-L1抗体+アキシチニブ)に対する耐性を獲得したin vivo腫瘍モデルを用いて、IO-TKI comb Tx抵抗性腫瘍および母細胞株由来腫瘍を、同系マウスで増殖させ、無治療あるいはIO-TKI comb Tx施行直後に採取した腫瘍の計4種類の腫瘍組織を対象に種々の解析を行なった。その結果、治療標的として活性阻害を行う対象としての候補遺伝子の選定を終えた。さらに、それらの候補遺伝子の活性を阻害し、IO-TKI comb Txに対する耐性克服を目指した新規治療の確立に向けた検討を行っており、具体的には、特異的阻害剤、アンチセンスオリゴ(AS ODN: antisense oligodeoxynucleotide)、siRNAおよび中和抗体等を治療手段として用いることが想定しているが、経済性、我々の過去の実績および臨床応用の可能性等を考慮すると、AS ODNを用いた新規治療開発が最も適したストラテジーであると考え解析を進めている。また、上記4種類の腫瘍組織におけるチロシンキナーゼ活性を有する種々の受容体蛋白のリン酸化をRTK Phosphorylation Antibody Arrayを用いて評価を行った。今後治療標的遺伝子を標的とした治療の有効性を検証していく予定である。今後、至適AS ODNの同定、AS ODNのIO-TKI comb Txに対する耐性克服効果の検討が中心的課題となるが、シグナル伝達、アポトーシス、EMTおよび免疫関連分子の活性化および発現様式の変化を評価し、AS ODN併用による抗腫瘍効果増強メカニズムも併せて詳細に解析する予定である。
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