研究課題/領域番号 |
21K09354
|
研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
相澤 直樹 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (80595257)
|
研究分担者 |
藤田 朋恵 獨協医科大学, 医学部, 教授 (20296510)
山西 友典 獨協医科大学, 医学部, 教授 (90220425) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 膀胱知覚 / 炎症 / ヒスタミン / H2受容体 / バリア機構 |
研究実績の概要 |
最終年度では、まずヒスタミンおよびH2受容体に着目して追加検討を行った。その結果、ラット膀胱を用いて検討を行うと、蛍光免疫組織染色では、H2受容体の発現は平滑筋より粘膜層に強く認められた。膀胱内圧測定では、H2受容体拮抗薬シメチジンは、膀胱内圧パラメーターに大きな変化を与えなかった。一方で、膀胱伸展に応答する求心性神経活動を測定すると、ヒスタミンは神経活動のAδとC線維の活動性を増大させていた。加えて、シメチジン自体がC線維の活動性を増大させていた。 別の実験においては、膀胱の炎症が膀胱粘膜のバリア機構に及ぼす影響を検討した。膀胱を表裏逆転したサンプルを独自に作成し検討を行ったところ、健常の膀胱においては、膀胱粘膜は薬物を浸透させない強固なバリア機構を形成していた。他方、シクロフォスファミド誘発出血性膀胱炎モデルラットの膀胱では、膀胱粘膜のバリア機構は著しく障害され、薬物は膀胱平滑筋層まで浸透しうることが確認できた。 研究期間全体を通じて実施した研究成果としては、間質性膀胱炎・膀胱痛症候群のヒト膀胱生検検体において、肥満細胞関連因子の各種受容体サブタイプのいくつかの遺伝子発現が、正常に比べ増大していることを見出した。 炎症自体が膀胱に及ぼす影響を動物を用いて検討すると、炎症時には膀胱粘膜のバリア機構が著しく障害され、薬物や化学物質が膀胱平滑筋層まで浸透しうる可能性を確認した。 さらに、肥満細胞から放出される主要因子であるヒスタミンは、膀胱内注入により、膀胱伸展に応答する求心性神経活動において、AδとC線維の両者の活動性を濃度依存的に増大させていた。また、これまで膀胱においてあまり検討されてこなかった、H2受容体が、この膀胱求心性神経活動に抑制的な役割を果たしている可能性を示唆する所見を得た。
|