研究課題/領域番号 |
21K09357
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小路 直 東海大学, 医学部, 准教授 (50514890)
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研究分担者 |
小泉 憲裕 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (10396765)
宮嶋 哲 東海大学, 医学部, 教授 (90245572)
上村 鋼平 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 特任講師 (10805039)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / 人工知能 / がん局在診断 / ナビゲーション / 前立腺がん標的局所療法 / 高密度焦点式超音波 / 排尿機能 / 性機能 |
研究実績の概要 |
本研究では、人工知能技術(AI)援用による前立腺がん存在範囲の局在抽出・追従・モニタ リング技術を活用する。従来困難とされてきた前立腺内部のがんの正確な存在範囲を同定す る。正常組織を可能な限り温存する“前立腺がん標的局所療法”を可能とさせる。AIを用いて前立腺癌の存在範囲を精密に同定できれば “前立腺がん標的局所療法”を今後の標準治療にできるとの仮説を検証することを目的とする。 1. AI援用によるがん局在抽出・追従・モニタリング技術として、“Instance Segmentation”を用いた技術を前立腺ファントム、および実際の患者超音波画像を用いて開発した。本技術については、AbstractがComputer Assisted Radiology and Surgery 2022に採択された。(Mukasa A, Koizumi N, Nishiyama Y, Onodera Y, Matsuyama M, Fujibayashi T, Shoji S. An automatic tumor monitoring system for robot-assisted surgery using deep learning) これまでに、臨床現場への導入を準備してきており、AI援用による前立腺がん標的局所療法の実施準備は整いつつある。 2. 高密度焦点式超音波療法による前立腺がん標的局所療法の治療効果、および安全性向上のため、過去治療における臨床成績を解析し、“前立腺がん標的局所療法”のための治療手技について検討を行った。本研究成果については、国際英文雑誌に2編の論文として報告した。(Shoji, et al. Int J Hyperthermia 2021;38:1205-1216) (Shoji, et al. J Med Ultrason 2022, In Press)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. AI援用によるがん局在抽出・追従・モニタリング技術について、当初よりも開発が順調であり、国際学会(Computer Assisted Radiology and Surgery 2022)で発表できるまで進展が認められたため。
2. 高密度焦点式超音波療法による前立腺がん標的局所療法の治療効果、および安全性を向上させるための臨床研究が行われ、結果について国際英文雑誌に受理されたとともに、治療技術が向上したため。
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今後の研究の推進方策 |
1. AI援用によるがん局在抽出・追従・モニタリング技術を実際の治療に応用する。具体的には、モニタリング技術により診断、表示された前立腺がん領域に対する前立腺がん標的局所療法を実施する。
2. AI援用によるがん局在抽出・追従・モニタリング技術を活用したHIFUを用いた前立腺がん標的局所療法の有効性について評価する。
3. 前立腺がん標的局所療法とロボット支援下根治的前立腺摘除術の臨床成績をヒストリカルコントロールにより比較する。具体的には、再発率(5年無再発生存割合)、および尿失禁出現率を比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度中に予定したAI援用によるがん局在抽出・追従・モニタリング技術の臨床への導入が、次年度になったため、次年度使用額が発生した。 次年度は、AI援用によるがん局在抽出・追従・モニタリング技術を実際の治療に導入する予定である。このため、本年度に購入を予定した深層学習用ワークステーション、医用画像解析ソフトウェア、および治療データ・動画記録用ハードディスクの購入を予定している。
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