2021年度:L-トリプトファンとIFNγは膀胱上皮細胞の増殖を抑制したが、プロテインLによる膀胱上皮細胞の増殖抑制作用は認められなかった。また、IFNγはCXCL10を誘 導したが、L-トリプトファンとプロテインLは誘導しなかった。GPACの病原因子のひとつと考えていたプロテインLの発現を購入株ならびに臨床分離株で検討した結果、AnaerococcusとPeptoniphilusにプロテインLの発現は認められなかった。そこで、GPACの尿中診断マーカーとして、プロテインL測定は不適当と判断し、尿中AnaerococcusとPeptoniphilusを直接定量できるPCRキットを開発した(特許出願済)。 2022年度:患者の尿中より分離・培養・同定したAnaerococcusとPeptoniphilusの薬剤感受性を検討した結果、ABPCに感受性が高いことが判明した。そこで、尿中16S解析でAnaerococcusとPeptoniphilusを認める患者に対してABPCを2週間投与したが、明らかな症状の改善は認められなかった。 2023年度:尿中16S解析を再検討し、ハンナ型間質性膀胱炎の原因と考えられる起因菌の同定を試みた。しかし、膀胱内細菌叢の自然史には性差や年齢、特に女性の閉経前後における変化が推測された。ハンナ型間質性膀胱炎の起因菌を同定するためには、対照群における性差と年齢を加味した検討が不可欠と判断されたため、尿中診断キットの開発は現段階では中止とした。
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