間質性膀胱炎の病態と制御性T細胞による免疫応答の関連性に関して、1年目、2年目に引き続いて膀胱局所における制御性T細胞(Treg)の発現や活性と疾患重症度との関連性の検討を行った。また膀胱局所における免疫応答の評価のために、膀胱組織を用いた細胞表面抗原マーカの検討を行った。その結果、正常患者(コントロール)群、膀胱痛症候群症例(非ハンナ型)群(BPS群)と比較して、間質性膀胱炎症例では、Foxp3陽性T細胞の割合が高い傾向が得られた。ただコロナ禍の影響および難病指定を受けている希少疾患ということもあり、検討症例数が少なく、有意に間質性膀胱炎に特異的な細胞表面抗原マーカの特定には至っていない。また、間質性膀胱炎の診断のための尿中バイオマーカの検索研究として、尿中プロテオミクス、メタボローム解析を実施した。正常患者(コントロール)群、間質性膀胱炎症例 (ハンナ型)群(IC群)、膀胱痛症候群症例(非ハンナ型)群の3群間で比較検討を行ったが、間質性膀胱炎症例における特異的な尿中代謝物質やタンパクの同定には至らなかった。ここで用いた尿中のオミックス解析では、さまざまな患者側の要因(腎機能障害や尿路感染など)が影響を及ぼしていると考えられ、間質性膀胱炎で特異的なマーカ同定には至らなかったと考えている。また間質性膀胱炎患者の膀胱組織でみられるB細胞と制御性 T 細胞の関連性の検討については、先行研究で報告されているような B 細胞系の浸潤が優位に増加していることは非ハンナ型間質性膀胱炎症例群(軽症群)、ハンナ型間質性膀胱炎症例群(重症群)においてともに確認できたが、B細胞の制御性T細胞に対する誘導機能、および抑制にどう働くかについては特異的な反応が検出できず、作用機序の解明にまでは至らなかった。
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