研究課題/領域番号 |
21K09405
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
岡田 朋記 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 臨床研究医 (10881774)
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研究分担者 |
田口 和己 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (00595184)
松永 民秀 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (40209581)
安井 孝周 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40326153)
嶋田 逸誠 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (40833265)
岡田 淳志 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (70444966)
濱本 周造 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (80551267)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 尿路結石 / iPS細胞 / 腎オルガノイド |
研究実績の概要 |
[1]ヒト由来の腎オルガノイドを用いて健常者と尿路結石患者の腎形態を比較する ① 健常者および尿路結石患者由来iPS細胞の作製 研究に同意を得た健常者、尿路結石患者から血液を採取し、全血から末梢血単核細胞を分離後、エピソーマルベクターを用いて山中4因子(Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc)を導入し、iPS細胞を作製した。本研究では安定したiPS細胞確立のため、外部受託を行った。尿路結石患者由来のiPS細胞は計5クローン作製され、その後の拡大培養により腎オルガノイドの作製に必要な細胞数が充分量確保された。 ② 健常者および尿路結石患者由来の腎オルガノイドの作製 作製したiPS細胞を、高里(Nature, 2015)らの手法を用いて、CHIR99021、FGF9の付加により腎前駆細胞へと分化させ、遠心分離による再集合の形成と三次元培養を経て腎オルガノイドを誘導した。また今後の実験系において適した腎オルガノイドを作製するため、Freedman(Nat Commun, 2015)らの手法を用いて、CHIR99021、B27の付加により遠心分離を行なわなず、Spheroidを形成させることによる腎オルガノイドの誘導も行った。作製された腎オルガノイドの評価は、いずれの手法によるものもホールマウント免疫染色にて行った。健常者由来と尿路結石患者由来の腎オルガノイドは、WTI、LTL、E-cadherinの免疫染色によって、それぞれ糸球体、近位尿細管、遠位尿細管の構造が発現していることを確認した。この際、健常者と尿路結石患者由来を比較したが、免疫染色上で確認される組織構造の相違は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度において、当初の予定通り健常者と尿路結石患者由来の腎オルガノイドを作製することに成功した。これにより次年度以降予定している、尿路結石の形成機序における遺伝因子の関与を明らかにする研究への利用が可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
作製した腎オルガノイドを対象にプロテオーム解析やシングルセルRNAシーケンスを行うことで尿路結石の形成機序における遺伝因子の関与を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
①ヒト由来の腎オルガノイドを用いて健常者と尿路結石患者の腎形態やタンパク発現を比較し、「結石の形成」と「結石の自然消失」に関与する遺伝因子を同定すること、②同定された因子は化合物ライブラリを用いたスクリーニングによって「結石の溶解療法」の基礎とすることを目的とする。計画自体は順調な滑り出しであったがCOVID-19による通常の医療業務が大幅に変更となり、予定してていた研究を進めることができなかった。また国際・国内学会出張も計画していたが、出張することもできなかった。このため次年度使用が生じた。本年度は引き続き①ヒト由来の腎オルガノイドを用いて健常者と尿路結石患者の腎形態やタンパク発現を比較し、「結石の形成」と「結石の自然消失」に関与する遺伝因子を同定する目的を達成したい。
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