研究課題/領域番号 |
21K09407
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
藤本 清秀 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50264867)
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研究分担者 |
堀 俊太 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30623681)
藤井 智美 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50623477)
三宅 牧人 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80601400)
中井 靖 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90445065)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 後腹膜肉腫 / 局所再発制御 / 免疫チェックポイント阻害薬 |
研究実績の概要 |
軟部組織肉腫、なかでも後腹膜腔に発生する後腹膜肉腫は特に希少であり、その上100種類前後の組織型が存在する。根治的治療は基本的に外科的切除術であり、切除不能例などには化学療法であるadriamycin、ifosfamide、eribulin、pazopanibや放射線照射などで治療される。しかし、それらの治療奏効率は決して高いとは言えない。近年、軟部組織肉腫に対する免疫療法によって全生存期間を延長させたという臨床研究が報告されており、特に免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療は関心を集めている。しかし、希少癌ゆえに新規治療への研究はほかの癌腫に比べ遅れているのが現状であり、免疫チェックポイント阻害薬を用いた新たな治療戦略が急務と考える。 これまで我々は後腹膜肉腫の切除標本について免疫チェックポイント分子であるPD-1とそのリガンドであるPD-L1,PD-L2の発現が予後予測因子として関連しているか検証してきた。後腹膜肉腫の組織型として脱分化型脂肪肉腫、未分化多形肉腫、平滑筋脂肪肉腫、そしてその他の肉腫について計51例の術後予後とそれぞれの分子との関連を解析した。この研究で、後腹膜肉腫におけるPD-1、PD-L1、PD-L2の発現は予後因子としての新たな視点を与えた。メラノーマや腎癌など様々な癌腫で免疫チェックポイント阻害薬が基礎研究、臨床研究で奏功が示されており、軟部組織肉腫においても治療効果が期待されている。例えば、軟部肉腫と骨肉腫の患者に対して施行された抗PD-1抗体のpembrolizumabやnivolumab、抗CTLA-4抗体のipilimumabを使用した臨床研究が報告されており、免疫チェックポイント阻害薬の肉腫に対する治療効果が示された。
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