研究課題/領域番号 |
21K09410
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
宮崎 淳 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (10550246)
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研究分担者 |
西山 博之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20324642)
神鳥 周也 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50707825)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ビーシージー / TDM / 癌免疫 / リポソーム |
研究実績の概要 |
膀胱癌に対するBacillus Calmette-Guerin(BCG)膀胱内注入(膀注)療法は最も臨床的有用性の確立した免疫療法である。一方でBCG療法は生菌を用いるため投与法が限られてきた。このため我々はBCGの細胞壁成分である糖脂質trehalose-6 6-dimycolate (TDM)を分離精製した後に親水性を得るためにリポソーム化し、その抗腫瘍効果を検証してきた。その結果、TDMリポソームが皮下投与および腹腔内投与で皮下腫瘍が縮小することを確認し、TDM人工リポソームがBCG生菌に匹敵する強力な抗腫瘍効果を持つことを見いだした。最も重要な点はTDMリポソームを腹腔内投与した場合に皮下腫瘍に明らかな縮小効果を認めたことである。これは経静脈投与などの全身投与にも対応できる新規のBCG療法の可能性を示唆する成果である。これらの発見事項は(【発明名称】リポソーム、抗癌剤及び癌治療用キット【特許第7220472号】)として特許に認可された。 さらには、N-butyl-N-(4-hydroxybutyl) nitrosamine(BBN)自然膀胱発癌マウスに投与することで、発癌を抑制することにも成功している。この自然発癌マウスにおける抗腫瘍効果にはNK細胞や、B細胞が関与していることも見いだしている。。しかし、このリポソームには、TDM以外のリポソーム化に必要な物質を含むため、リポソーム内のTDMの濃度が制御できないうえに、さらにTDMの濃度の測定が困難であるなどの問題があり、今後製剤化するためには困難が予想される。特に全身投与を想定した場合、用量反応性に関するデータが得られないことが大きな問題となる。このため今回、治療応用可能な純度100%のTDMリポソームの合成が可能か?という問いに回答するべく研究計画を立案している。
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