研究課題
本研究ではマウス尿路上皮癌細胞同系移植モデルを用いてMDSC抑制が免疫微小環境にどのような影響を与えるかとPD1阻害治療を増強しうるかについて検討し、MDSCを抑制しうる化合物を探索することで、MDSCの転移性尿路上皮癌における新規治療標的としての可能性を検討する。2021年度はマウス尿路上皮癌皮下アログラフトモデルを用いた膀胱癌免疫微小環境の解析を行った。マウス膀胱癌皮下アログラフト(UPPL1541、BBN963)ではメラノーマモデルや肺がんモデルと比較し有意にMDSCが増加し、逆に腫瘍浸潤CTLが減少していた。いずれの膀胱癌モデルでもM-MDSCよりもG-MDSCが有意に増加していた。ヒト膀胱癌臨床検体の免疫染色ではMDSCとCTLの逆相関を弱く認めたが有意差を認めなかった。2022年度はMDSC除去が免疫微小環境に及ぼす影響とPD1阻害治療との併用効果について検討を行い、抗Ly6G抗体と抗PD-L1抗体の併用により、単剤使用と比べて有意に腫瘍抑制効果を認めた。CD8+T細胞の枯渇は抗Ly6G抗体と抗PD-L1抗体の併用による腫瘍抑制効果を無効化した。抗Ly6G抗体によるMDSCの除去がT細胞疲弊を解除したものと推察された。2023年度は抗Ly6G抗体と抗PD-L1抗体を併用することで、UPPL1541腫瘍および脾臓においてCD8+およびCD4+T細胞を増加させることを確認した。また、ヒトでもMDSCを抑制するとされているCXCR2阻害剤(AZD5069)は抗PD-L1抗体と併用することでUPPL1541腫瘍の腫瘍抑制効果を示した。
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