研究課題/領域番号 |
21K09413
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
山本 新吾 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80322741)
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研究分担者 |
山崎 栄樹 帯広畜産大学, 動物・食品検査診断センター, 准教授 (40514708)
奥村 香世 国立感染症研究所, 安全実験管理部, 主任研究官 (70415561)
兼松 明弘 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (90437202)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 全自動尿中有形分析装置 / 尿路感染症 / 薬剤耐性 / 薬剤感受性 |
研究実績の概要 |
評価1:臨床尿検体におけるUF-5000のBACT(細菌数)測定値と微生物検査との相関性について:今年度エントリーした重症尿路感染症の入院患者4名について、抗菌薬治療における投薬前、投薬後6~12時間、24時間、6~7日目の4ポイントで採尿を行った。採取検体は採取後、同病院内の検査部にて、UF-5000測定および微生物検査(尿培養、薬剤感受性試験、グラム染色)を行った。投与抗菌薬は同定細菌種に対する感受性を示しており、グラム染色による検鏡では、投与後6~12時間ですでに細菌数の減少が認められていた。UF-5000測定での細菌数も投与後6~12時間で減少しており、グラム染色の結果と相関した。また、BACTスキャッタグラムでは細菌クラスターの消失が確認された。これらの結果より、抗菌薬投与後6~12時間においてUF-5000測定での細菌数モニタリングは臨床的有用性がある可能性が示唆された。
評価2:薬剤耐性株に対する抗菌薬感受性評価におけるUF-5000のBACT(細菌数)測定値とBACTスキャッタグラムの経時的変化の検証(純粋培養系実験):純粋培養のモデル実験にて、感受性株を対照として耐性菌のUF-5000測定による細菌数モニタリング評価を行った。E. coliの薬剤感受性株および耐性株に複数濃度のPiperacillin/Tazobactam処理を行い、2時間、4時間、24時間後にUF-5000測定を行った。その結果、耐性株は感受性株と比較して、細菌数の減少が生じ始める抗菌薬濃度が高いことが示された。また、Intermediate付近の高濃度の抗菌薬処理の場合、耐性菌は感受性株同様、処理後2時間で細菌数が減少し、BACTスキャッタグラムの変化が認められたが、時間の経過(24時間後)によって、細菌数の増加およびBACTスキャッタグラムが正常化することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
純粋培養系での耐性菌の評価に必要な条件検討は当初の予定通り進んでおり、次年度以降は臨床検体で得られた結果をもとに、耐性菌におけるUF-5000の細菌数モニタリングの評価実験を行う。臨床尿検体の用いた評価1を今後も推進する。また、評価2の純粋培養株を用いた耐性菌の評価実験では、評価1で同定された細菌種の耐性菌と抗菌薬の組み合わせを用いてUF-5000での細菌数モニタリングおよびBACTスキャッタグラムの経時的変化についての評価を行う。
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今後の研究の推進方策 |
臨床尿検体の用いた評価1を今後も推進する。また、評価2の純粋培養株を用いた耐性菌の評価実験では、評価1で同定された細菌種の耐性菌と抗菌薬の組み合わせを用いてUF-5000での細菌数モニタリングおよびBACTスキャッタグラムの経時的変化についての評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度の研究実施期間では、新型コロナウイルス感染症の拡大が昨年同様ひきつづき影響したため、本研究にエントリー可能な入院患者数が少なく、解析を予定していた検体数 には達しなかった。一方、次の研究ステージへ移行するために必要な条件検討は十分にすすんでおり、今後エントリー患者数を増やして研究をすすめりう予定である。令和4年度に使用予定であったが余剰となった金額については、次年度の試薬購入に使用を予定している。
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