研究実績の概要 |
過活動膀胱は病態が慢性的な虚血が進展すると低活動膀胱に移行するという病態が想定されている。(Nomiya M et al. J Urol 2014)虚血による傷害には一酸化窒素(NO)の低下が関与しているとされており、当科においてシトルリン・アルギニン(CitArg)によるNOを供与することでNOの抗炎症作用などの効果で低活動膀胱への進展の予防ができるのではないかと考え、研究をすすめていた。17週令のSprague-Dawley雄性ラットを用いて、5群(コントロール群、慢性虚血群、慢性虚血群+CitArg投与群、慢性虚血+L-NAME群、慢性虚血+L-NAME+CitArg投与群)にわけて排尿動態および、等尺性収縮実験、組織免疫染色実験を予定していた。 コントロール群、慢性虚血群の検討では、膀胱内圧測定における頻尿と膀胱平滑筋組織の実験での収縮力の低下が示された。この結果は、過活動膀胱を示すのと同時に排尿筋低活動を示していることになる。慢性虚血にCitArg投与した群では、膀胱内圧測定における頻尿の改善が示された。 一方、慢性虚血群にL-NAMEを投与して虚血によるダメージを増加させたモデル作成が遅れており、今後は同モデルの作成と、CitArg投与による結果、膀胱組織、病態モデルの総腸骨動脈の切片、eNOS, nNOS, iNOSの免疫染色およびPCR定量検査の結果をみて、低過活動膀胱の病態への新たな治療のアプローチを切り拓いていきたいと考えている。
|