研究課題/領域番号 |
21K09427
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
三浦 徳宣 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (80554427)
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研究分担者 |
雑賀 隆史 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (10314676)
東山 繁樹 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 教授 (60202272)
菊川 忠彦 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (70444734)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / PSMA / 血管内皮細胞 |
研究実績の概要 |
前立腺癌関連血管内皮細胞でのPSMAの発現がどのように誘されるのか、またPSMA陽性血管内皮細胞が正常血管内皮細胞とどのような機能的差異を示すのかは殆ど不明である。しかし我々は既に、前立腺癌細胞株LNCaP cellsの培養上清中の10,000 g pellet画分を、正常血管内皮細胞であるヒト臍帯血静脈血管内皮細胞 HUVEC (human umbilical vein endothelial cells)の培地中に添加する事で、PSMAの転写が誘導される事を見出している。この結果は、前立腺癌細胞が細胞外に分泌する自身の細胞膜由来のmicrovesicle (MV)にPSMA発現誘導活性がある事を強く示す。本研究は、前立腺癌細胞LNCaP cells由来のMV中のPSMA発現誘導因子の分子実体を同定し、正常血管内皮細胞が前立腺癌関連血管内皮細胞へと質的に変化する分子機構の解明を目的としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は、前立腺癌細胞株LNCaP cells由来microvesicle(MV)の質量分析による性状解析を計画した。PSMAの発現を誘導する前立腺癌細胞株LNCaP cells由来のMVをタンパク質抽出液でlysisして、質量分析のショットガン法による成分解析を行い、本解析の再現性を質量分析に供するMV量を増やして解析を行い、再現性良くLNCaP cells由来MVから検出されるタンパク質を確定し、これらの同定された分子を実臨床で得られた前立腺癌腫瘍細胞でも確認する計画であった。しかしながら、今までところ、再現性が十分ではなく、実臨床の前立腺癌細胞での確認には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
PSMAの発現を誘導する前立腺癌細胞株LNCaP cells由来のMVから検出されるタンパク質同定、再現性確認の作業を進め、実臨床での前立腺癌腫瘍細胞での確認を行っていく。続いて、令和4年度に予定していた、LNCaP cells由来MVによるPSMAの発現制御機構の解析をおこなっていく。具体的には、LNCaP cells由来のMVによる血管内皮細胞におけるPSMA発現誘導においては【1】MVの血管内皮細胞における取り込み (エンドサイトーシス)【2】MVのエンドサイトーシス後のPSMAの転写誘導の2つのプロセスが必須となることから、各種エンドサイトーシス阻害剤 (Dyngo4a, Pitstop, EIPA等)をHUVECに処理し、LNCaP cells由来MVを添加して、PSMAの発現誘導の変化を検証していく予定である。
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