研究課題/領域番号 |
21K09428
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
齊藤 源顕 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (60273893)
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研究分担者 |
清水 孝洋 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 准教授 (00363276)
山本 雅樹 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (20571037)
東 洋一郎 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 講師 (80380062)
清水 翔吾 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (90721853)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 一酸化炭素 / GABA / GABA受容体 / 膀胱 / 排尿反射 |
研究実績の概要 |
背景:初年度は一酸化炭素(CO)が脳内で排尿反射抑制に関与する事を明らかにした。そこで本年度は、脳内COによる排尿抑制の機序を抑制性神経伝達物質GABAとの関連で検討した。加えて、膀胱組織におけるCOの生理的役割についても検討した。 方法:(1)ウレタン麻酔下の雄性ラットに対し膀胱内圧測定(CMG)用カテーテルを膀胱に挿入した。術後2時間経過してから連続CMGを開始し、その60分後GABAAあるいはGABAB受容体遮断薬(SRあるいはSCH)を脳室内投与した。遮断薬投与30分後にCORM3(COドナー)を脳室内投与し、2時間連続CMGを継続した。(2)雄性ラットの膀胱組織片をカルバコールにより予め収縮させた後、CORM3を累積投与した。また(1)と同様の麻酔・カテーテル挿入を施したラットに対してCORM3を膀胱内注入し連続CMGを行った。 結果:(1)CORM3脳室内投与による排尿間隔(ICI)延長はSRまたはSCH前処置により有意に抑制された。(2)予め収縮させた膀胱組織片に対しCORM3は有意な弛緩作用を示さなかった。またCORM3単独投与では膀胱組織片に対して収縮または弛緩作用はいずれも観察されなかった。一方CORM3膀注群は対照の溶媒膀注群に比して有意なICI延長が観察された。 結論:(1)脳内COによる排尿反射抑制には脳内GABAA・GABAB受容体が関与することが明らかとなった。(2)膀胱においてCOは平滑筋を弛緩させずに排尿反射を抑制する可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳内COに関する研究内容は国際禁制学会に採択され、2022年度に発表した。また2023年の米国泌尿器科学会にも採択され、2023年度に発表予定である。加えて国際誌Nitric Oxide誌への投稿準備が整い、投稿手続きを進めている所である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)ガス状伝達物質は互いに相乗作用を示すことが知られている。そこで脳内COによる排尿反射抑制に対する脳内一酸化窒素・硫化水素の影響を検討する。 (2)膀胱組織におけるCOの生理作用、排尿反射抑制、について、その機序をCOのneuromodulatorとしての役割に着目して検討する。加えて、CO合成酵素・ヘムオキシゲナーゼの膀胱組織における発現分布についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内に予定していた試薬が入手できず、結果として次年度に回したため。
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