研究課題/領域番号 |
21K09440
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
清野 学 山形大学, 医学部, 講師 (40594320)
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研究分担者 |
永瀬 智 山形大学, 医学部, 教授 (00292326)
太田 剛 山形大学, 医学部, 准教授 (50375341)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 卵巣癌 / 明細胞癌 / グルタチオン / スルファサラジン |
研究実績の概要 |
本研究では、卵巣癌におけるグルタチオン(GSH)合成経路の差異を明らかにし、合成経路の酵素発現とそれぞれの阻害効果を比較し、trans-sulfuration経路阻害を含めたGSH合成経路が薬剤耐性克服に寄与するかを検討する。 複数の卵巣癌細胞株を用いて、GSH合成経路に関連する蛋白質の発現をウェスタンブロッティングにより検討した。GSH構成成分であるシステインを取り込むトランスポーター(xCT)の発現レベルは4種の卵巣明細胞癌細胞株において同様であった。メチオニンからシステインが合成されるtrans-sulfuration 経路の律速酵素であるcystathioninegamma-lyase (CGL)の発現レベルは他の細胞株に比較してHAC-2 で高かった。GSH の律速酵素であるglutamate-cysteine ligase catalytic subunit (GCLC)の発現レベルは卵巣明細胞癌細胞株において同様であった。フェロトーシス誘導に関連するGPx4 の発現レベルは、HAC-2 で高く、ES-2 で低かった。HAC-2 ではCGL 発現レベルが高くtranssulfuration経路由来のシステインの産生が亢進している可能性があった。 グルタチオン合成経路の蛋白発現の差異が確認できたため、今後はそれぞれの経路の阻害薬の抗腫瘍効果をin vitroで確認する予定である。さらにそれぞれの阻害薬と既存の殺細胞性抗がん剤との併用効果も検討する。有効な治療候補を見出したのちにin vivoで抗腫瘍効果を検証していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点で、複数の卵巣癌細胞株を用いた基礎実験により、グルタチオン合成経路の差異を見出している。当初の予想通り、同様の組織型でもグルタチオン合成経路の蛋白発現は一様ではなく、どのグルタチオン合成経路が有意か確認することで有効な治療戦略が立てられる可能性が示唆されている。 さらに臨床検体を用いた研究を行うためにオルガノイドモデル樹立を試みており、現在は安定したモデル樹立の培養条件などの検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
グルタチオン合成経路の蛋白発現の差異が確認できたため、今後はそれぞれの経路の阻害薬の抗腫瘍効果をin vitroで確認する予定である。さらにそれぞれの阻害薬と既存の殺細胞性抗がん剤との併用効果も検討する。有効な治療候補を見出したのちにin vivoで抗腫瘍効果を検証していく予定である。 同時に臨床検体を用いたオルガノイドモデル確立も継続し、安定したオルガノイドモデル樹立法を模索していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額は少額の為、年度内での使い切りが難しかった。次年度の消耗品に使用する予定である。
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