• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

グルタチオン合成経路に着目した薬剤耐性卵巣癌に対する新規治療戦略の確立

研究課題

研究課題/領域番号 21K09440
研究機関山形大学

研究代表者

清野 学  山形大学, 医学部, 講師 (40594320)

研究分担者 永瀬 智  山形大学, 医学部, 教授 (00292326)
太田 剛  山形大学, 医学部, 准教授 (50375341)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードグルタチオン / 卵巣明細胞癌 / パクリタキセル / フェロトーシス
研究実績の概要

【研究方法】明細胞癌細胞株 (TOV21G, RMG-1, HAC-2, ES-2)を用い、それぞれの細胞株にpaclitaxelとスルファサラジン(SAS)の単剤またはpaclitaxelとSASを併用投与し、1) 細胞増殖能についてMTSアッセイで検討、2)ROS産生をフローサイトメトリーで検討、3)apoptosis誘導をウェスタンブロットで検討した。4)ferroptosis阻害剤(ferrostatin-1)を用いて細胞増殖能に対する影響をMTSアッセイで検討した。5)GSH代謝経路関連蛋白の発現をウェスタンブロットで検討した。6)paclitaxelとSAS併用による抗腫瘍効果をRMG-1の異種移植モデルで検討した。
【結果】HAC-2を除いたすべての明細胞癌細胞株でpaclitaxelとSASの併用投与はそれぞれの単剤投与と比較して1)細胞増殖能を抑制し、2)ROSの産生が増加し、3)apoptosis誘導を増強した。4)ES-2のみpaclitaxelとSASの併用投与による細胞増殖抑制効果がferrostatin-1で解除された。5)HAC-2では他の細胞株に比較してシスタチオニンガンマリアーゼ(CGL)発現が上昇しており、ES-2では他の細胞株に比較してグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx4)の発現が低下していた。6)paclitaxelとSASの併用投与によってそれぞれの単剤投与と比較して抗腫瘍効果の増強を認めた。
【結論】明細胞癌細胞株ではCGLが高発現であるとSASの細胞死誘導効果が低下する。SASとpaclitaxelの併用投与で誘導される細胞死の主たる機序はapoptosisであるが、GPx4が低下しているとferroptosisも誘導されることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究当初の予想通り、多くの明細胞癌細胞株でpaclitaxelとSASの併用投与によりpaclitaxelの効果を増強することが確認できた。さらに個々の細胞株の違いを細かくウェスタンブロットなどで検討することで、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPX4)の発現が低下している細胞株(ES-2)ではフェロトーシスを誘導すること、シスタチオンガンマリガーゼ(CGL)が上昇している細胞は、SASの効果が乏しいことが分かった。これらは卵巣明細胞癌では新たな知見であり、現在論文投稿を行っておりおおむね順調と判断する。

今後の研究の推進方策

今後はSASでは効果がなかったシスタチオンガンマリガーゼ(CGL)高発現の細胞株に対し有効な治療戦略を開発するため、CGL阻害薬の併用治療などが臨床応用可能かどうか、CGL発現が治療予測マーカーになりうるかなど検討を行っていく予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] グルタチオン代謝経路阻害剤とpaclitaxelの併用による 細胞死誘導機構に関する検討2022

    • 著者名/発表者名
      出井麗、太田剛、伊藤泰史、堀川翔太 榊宏諭、清野学、永瀬智
    • 学会等名
      第74回日本産科婦人科学会学術講演会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi