研究課題/領域番号 |
21K09445
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中村 充宏 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (50377397)
|
研究分担者 |
藤原 浩 金沢大学, 医学系, 教授 (30252456)
松本 多圭夫 金沢大学, 附属病院, 助教 (30748629)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 子宮頸部医形成 / 子宮頸がん / Foxp4 / p16 |
研究実績の概要 |
2021年度は子宮頸部におけるFoxp4の発現を中心に研究を行った。正常子宮頸部、子宮頸部異形成(CIN)及び子宮頸部扁平上皮癌の組織検体を用いて、Foxp4の発現を免疫染色にて確認した。正常子宮頸部組織:5例、CIN1:8例、CIN2:12例、CIN3:19例の計44例を解析した。正常子宮頸部組織において頸管腺上皮細胞や扁平上皮と腺上皮お境界であるS-C junction周囲の予備細胞、またそれに由来する未分化な扁平上皮細胞の核領域でFoxp4の中等度の発現を認めたが、分化した重層扁平上皮細胞ではほとんど認められなかった。CIN及び子宮頸扁平上皮癌でFoxp4の発現は上昇していた。特に子宮頸部扁平上皮癌では全例発現を認めていた。CINの扁平上皮領域におけるFoxp4の発現を定量化したところ、CINが軽度、中等度及び高度と進行するのに伴いFoxp4発現は増加していた。またRT-PCR法にてFoxp4のmRNAも発現していたことから転写レベルでの発現上昇であることが明らかとなった。子宮頸癌の原因ウイルスであるHuman papilloma virus(HPV)との関連を検討するためにHPV感染によって発現が上昇するp16に注目し免疫染色を行った。CINの進行に伴いp16の発現は増加しFoxp4の発現と正の相関を示した。またFopx4の発現はCIN2以上で有意に増強している一方、p16の発現はCIN3以上で有意に増強していた。これらの所見からFoxp4は細胞の分化に関連する因子であり、HPV感染で発現が上昇しp16よりも早期に、特にCIN2以降で増強することからCIN2においてp16よりも鋭敏な診断予測マーカーとなり得ることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験がほぼ順調に遂行できたこととほぼ予想通りの結果が得られたことが理由である。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は (1) Foxp4の発現変化による子宮頸部異形成及び頸癌細胞の変化に注目し、正常ヒトケラチノサイト細胞、W12細胞(HPV16がEpisomalに感染しているCIN1細胞)、OncogeneであるHPV16E6、E7遺伝子がIntegrationしているE6E7細胞(CIN3)及び子宮頸部扁平上皮癌細胞を用いて、Foxp4をウイルスベクターにて過剰発現もしくはshRNAなどでノックダウンして発現抑制させ増殖能やInvasion assayによる浸潤能や遊走能の変化を評価する。HPV感染およびIntegrationの変化についてはSouthern blot法、PCR法を用いて検討する。またこれらの細胞をOrganotypic raft cultures system (Laimins et al., Science, 1992) にて子宮頸部組織を構築し異形成や癌の変化を組織学的に評価する (2)Foxp4とHPVのE6、E7との関連に注目し、子宮頸部でのHPV感染後にFoxp4の発現変化が引き起こされると仮定しOncogeneであるE6、E7とFoxp4とのInteractionについて検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は実験計画が順調に進んだことにより実験回数が当初計画より少なく済んだため使用金額が計画より少なかった。合わせた助成金は先述した2022年度の実験計画を確実に遂行し有意義な結果を出すために使用する予定である。
|