*反復着床不全(RIF)に対する子宮内PBMC療法は、胚の着床を改善することが報告されており、子宮内膜に作用することが示唆されているが、RIF患者においてPBMC療法が子宮内膜のどのような異常に作用するのかは不明なままである。また、hCGを併用するPBMC療法と併用しないPBMC療法との治療効果の違いも不明である。そこで着床不全(IF)モデルマウスを用いて、PBMC投与により誘発される着床期子宮内膜の変化と、hCGの有無による本治療の効果の違いを検討することとした。 低用量RU486の皮下投与によりIFモデルを確立した。妊娠マウスを無作為に5群に分けた:コントロール群、IF群、PBMC培養液群、PBMC群、PBMC-hCG群(後者3群は子宮内投与によるIFモデルマウス)。妊娠初期(day7.5)の妊娠率、着床部位の数と大きさを計測し、さらに着床前段階(day3.5の夕方)の子宮を採取し、RNA-seqで解析した。 結果として妊娠率、着床部位数、正常サイズの着床部位数は、IFモデルで有意に減少し、培地、PBMC、PBMC-hCG群では改善した。RNA-seqデータから、PBMC投与は、IFモデルにおける着床前段階の子宮内膜の調節異常遺伝子の大部分、特にエストロゲン活性化遺伝子の過剰発現を改善することが示された。加えて、PBMC投与は局所グルココルチコイド受容体発現を増加させ、炎症関連遺伝子の発現を抑制したが、血中エストラジオールおよびグルココルチコイドレベルには有意な変化は認められなかった。これらの変化はPBMC-hCG群でより顕著であり、妊娠転帰と一致していた。胚着床前のPBMCの子宮内投与は、IFマウスモデルにおいて胚着床を促進し、hCGは妊娠転帰を促進した。これらのPBMCの作用機序の1つとして、ステロイド受容体の発現調節を介した炎症および過剰なエストロゲン作用の抑制が考えられた。 現在、論文投稿準備中である。
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