研究課題/領域番号 |
21K09448
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三宅 達也 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00814766)
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研究分担者 |
岡本 一起 大阪大学, 産業科学研究所, 特任准教授 (40177085)
瀧内 剛 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (40733358)
木村 正 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90240845)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | NF-κB / MTI-II / 6A-8R / 着床阻害 |
研究実績の概要 |
本邦の人工妊娠中絶件数は年間16万件にものぼる一方で、人工妊娠中絶手術は女性の心身に大きな障害を与えるため、安全で有効な避妊薬の提供は我々産婦人科医の責務である。胚の着床には炎症などを調節する転写因子nuclear factor-kappa B(NF-κB)の関与が報告されているが、その分子機序は未だ明らかではない。 我々は、哺乳動物に普遍的に存在する核内タンパクMTI-Ⅱ(Macromolecular Translocation Inhibitor-Ⅱ)が特異的にNF-κBのp50 サブユニットに直接結合しNF-κBの転写活性を阻害することを報告した。着床と内因性MTI-Ⅱの関与を検討した報告は未だ見られない。本研究ではMTI-ⅡによるNF-κBを介した着床制御機構の解明と、MTI-Ⅱの活性部位を利用したペプチド(6A-8R)による着床阻害効果・安全性の検討、の2点を目的としている。 令和3年度には、着床前マウスへの6A-8R投与による着床の検討を行った。6A-8Rを投与した妊娠マウスは非6A-8R投与マウスに比して、着床数を減じ、部分的な着床阻害効果を有する可能性があることが示唆された。一方で、完全な着床阻害効果を現時点では証明できていないため、現在、投与方法など含めて条件検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
着床前マウスへの6A-8R投与による着床阻害効果の検討を行ったが、バリエーションが見られ、投与条件を固定化するのに時間を要している。 令和3年度はマウス生体への6A-8R投与による着床阻害効果の検討を中心に行ったが、ヒト子宮内膜におけるMTI-IIの発現評価や、子宮内膜間質細胞株に対する6A-8R投与による脱落膜化や着床関連遺伝子の発現などの検討は十分にできていない。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、引き続き妊娠マウスに対する6A-8R投与による着床阻害効果を検討し、最適な条件を固定化する。加えて、着床周辺期のマウス子宮におけるMTI-Ⅱ・NF-κB活性の検討、ヒト子宮内膜の月経周期におけるMTI-Ⅱ・NF-κB活性の検討、ヒト子宮内膜間質細胞株の6A-8R 投与によるNF-κB関連変化の検討も並行して実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費や旅費が当初計画より抑えられたため、残額が生じた。この残額は令和4年度分の助成金と合わせ、研究に必要な消耗品購入や精子の観察サンプルの作製費、研究成果を発表する学会参加費や論文投稿費として使用する予定である。
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