研究課題/領域番号 |
21K09452
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
金子 政時 宮崎大学, 医学部, 教授 (40264387)
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研究分担者 |
藤井 良宜 宮崎大学, 教育学部, 教授 (10218985)
森下 和広 宮崎大学, フロンティア科学総合研究センター, 特別教授 (80260321)
中畑 新吾 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 教授 (80437938)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | サイトメガロウイルス / CMV IgG avidity / 先天性サイトメガロウイルス感染症 / 妊婦スクリーニング / ELISPOTアッセイ |
研究実績の概要 |
妊婦初感染を予測するために開発した数理モデルの有効性の検証に関連して、先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染のリスク因子について検討を行った。これまでに集積した456例について、胎内感染を起こした群(n=19)と胎内感染を起こさなかった群(n=437)の母体年齢、血清検査妊娠週数、CMV IgM値、IgG avidity index(AI)、low IgG AIの妊婦、子ども1人の妊婦、保育士、母体感染徴候に関して比較した。その結果、血清検査妊娠週数、CMV IgM値、IgG avidity index(AI)、low IgG AIの妊婦、子ども1人の妊婦、母体感染徴候に関して両群間に違いがみられた。次に、CMV IgM値、low IgG AIの妊婦、子ども1人の妊婦、母体感染徴候の4つの独立変数で、胎内感染のリスクを予測するための因子を明らかにするために2項ロジスティクス解析を行った。その結果、Low IgG AIと子ども1人の妊婦が、独立した予測因子であることが判った。この結果は、母体のCMV感染予防の観点から重要であり、Viruses 2021, 13, 866 (https://doi.org/10.3390/v13050866)に論文発表した。また、本成果を第57回日本周産期・新生児医学会学術集会教育講演で発表した。 胎内感染の新たな診断法としてのELISPOTアッセイ法の有用性に関しては、現在、症例を集積中で、82件(妊婦31件)の検体を採取した。この内、1件の胎内感染例についてのELISPOTアッセイの結果は、スポットの形成が極めて少なく細胞性免疫の応答の発現が弱いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胎内感染のリスク因子を明らかにしてViruses 2021, 13, 866 (https://doi.org/10.3390/v13050866)に論文報告できた。また、本成果を第57回日本周産期・新生児医学会学術集会教育講演で専門医を対象に発表できた。さらに、第25回宮崎県産婦人科病医院従事者研修会において、一般産科医療従事者向けに情報を発信することができた。ELSIPOTアッセイの有用性については、順調に健康ボランティアおよび妊婦の血液検体を収集することができている。また、その中に2例の胎内感染例の母体血清も含まれており、今後の解析に使用できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究の進捗状況は概ね順調であり、ボランティアの検体収集・ELISPOTアッセイに関しては週に2回のペースを維持して行っていく予定である。、今後の研究推進にあたっての課題は如何にして胎内感染者の検体を洩れなく収集していくかである。胎内感染例の検体については、発症数が少ないため、検体数を増やすことは容易ではない。地域医療施設への協力依頼をさらに進めて、症例集積の漏れがないように努めていく予定である。また、新生児聴覚スクリーニング事業から判明した胎内感染例の母体の検体を収集していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の流行のため、予定していた学術集会の開催中止もしくはオンライン開催となったために旅費に充てる必要がなくなり当該助成金が発生した。 次年度は、この当該助成金を学術集会参加(意見交換を含む)のための経費や論文投稿に掛かる経費に充てる予定である。
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