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2023 年度 実施状況報告書

低侵襲・効率的な胎内サイトメガロウイルス感染症診断のための新たなアルゴリズム開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K09452
研究機関宮崎大学

研究代表者

金子 政時  宮崎大学, 医学部, 教授 (40264387)

研究分担者 藤井 良宜  宮崎大学, 教育学部, 教授 (10218985)
森下 和広  宮崎大学, フロンティア科学総合研究センター, 特別教授 (80260321)
中畑 新吾  鹿児島大学, 医歯学域ヒトレトロウイルス学系, 教授 (80437938)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードサイトメガロウイルス / CMV IgG avidity / 先天性サイトメガロウイルス感染症 / 妊婦スクリーニング / ELISPOTアッセイ / COVID-19
研究実績の概要

サイトメガロウイルス(CMV)感染に対する母体血清抗体スクリーニングは、胎内感染を予防・治療する方法が確立していないため、推奨されていない。また、CMV母体初感染が疑われても、羊水穿刺という侵襲的な方法でしか、妊娠中に胎内感染を診断することができない。そこで、ELISPT(enzyme-linked immunosorbent spot) assayを用いた細胞性免疫の働きをみることによるCMVの垂直感染診断の可能性について検討した。その結果、胎内感染児の母体において、IgG avidity index(液性免疫の働きをみる)は、妊娠経過と伴に上昇したが、ELSIPOT assayによるINF-γのスポット数(細胞性免疫の働きをみる)には殆ど変化がなかった。即ち、液性免疫の反応と細胞性免疫の反応に違いが観察された。この反応を違いをみることで、胎内感染を診断できる可能性を示した。この結果をJorunal of Infection and Chemotherapy 2023, 29, 1071-1074で報告した。
さらに、コロナパンデミックが始まった当初は、CMV IgM陽性を示す妊婦の数が激減したが、第7波、第8波の頃には、多くの妊婦もCOVID-19に感染し、それを契機にCMV IgM陽性妊婦の数が著増した。そこで、COVID-19感染とCMV IgMとの関連を検討したところ、COVID-19感染既往のある妊婦のCMV IgM値は、感染歴のない妊婦と比較して有意に高値で、しかも偽陽性を示す妊婦が多いことが判った。この結果は、今後、CMV IgM値を解釈するうえで、極めて重要になると考えられる。この結果をClinical and Experimental Obstetrics & Gynecology. 2023, 50(12) 279で報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

母体初感染を妊婦スクリーニングでみつける非侵襲的な方法を確立するために、CMV IgM陽性妊婦を本研究にリクルートすることを行っている。現在、250名の妊婦の登録を終了し、IgG avidity indexの測定、ELISPOT assayを終了した。この中で、垂直感染を起こした母体の、妊娠経過中のIgG avidity indexの推移およびELSIPOT assayによるINF-γのスポット数の推移を観察することができた。この結果から、本研究の目的の一部を達成したと考えている。また、COVID-19感染既往のある妊婦のCMV IgM値の解釈には、注意を要することが判った。この結果は、今後の研究結果の解釈にも影響することが考えられる。副次的な結果であるが、重要な結果を得られたと考えている。最終年度に向けて、さらにボランティア数を増やして、サイトメガロウイルス感染症の胎内感染の非侵襲的な診断法を確立するための検討を行うことができると考えている。

今後の研究の推進方策

研究の進捗状況は概ね順調であるが、さらに6ヶ月間でボランティア妊婦の数を増やすために週2回のボランティアからの採血の機会とELISPOT assayを行っていく。また、全新生児を対象とした新生児尿を使用したサイトメガロウイルス(CMV)胎内感染児のスクリーニングを利用して胎内感染児をみつけ、胎内感染例の母体からの検体収集を行う予定である。
結果の解釈に際しては、共同研究者である藤井の協力を得ながら、効率的に分析を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、物品購入以外に、国際学会の発表や論文発表を行って予定していた助成金を使用する予定であった。しかし、2編の論文をオープンジャーナルへの投稿を行ったが、1編はpublication feeが掛からない雑誌で、もう1編は、以前、Guest Editorを務めた関係もあり、publication feeが免除された。その結果、次年度使用額が生じた。次年度は、ELSIPOT測定キット、PCR用測定キット等の物品を購入する予定である。また、情報収集と情報発信のために、日本産婦人科感染症学会、日本周産期新生児学会、日本新生児育成学会に参加予定である。さらに、研究成果をまとめて論文を学術雑誌に投稿予定である。これらのことに助成金を充てる予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Cell-mediated and humoral immune responses to human cytomegalovirus in pregnant women with vertically transmitted infection following primary infection: A case report2023

    • 著者名/発表者名
      Yamada Naoshi、Kaneko Masatoki、Yang Li、Matsuzawa Satoshi、Minematsu Toshio、Kodama Yuki
    • 雑誌名

      Journal of Infection and Chemotherapy

      巻: 29 ページ: 1071~1074

    • DOI

      10.1016/j.jiac.2023.07.004

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Impact of COVID19 on cytomegalovirus immunoglobulin M antibody index2023

    • 著者名/発表者名
      Masatoki Kaneko, Junsuke Muraoka, Li Yang, Shuichi Tokunaga, Toshio Minematsu
    • 雑誌名

      Clinical and Experimental Obstetrics and Gynecology

      巻: 50 ページ: 279, 304

    • DOI

      10.31083/j.ceog5012279

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 先天性感染症2023

    • 著者名/発表者名
      金子政時
    • 雑誌名

      周産期医学

      巻: 53 ページ: 1214, 1216

  • [学会発表] 先天性サイトメガロウイルス感染症2024

    • 著者名/発表者名
      金子政時
    • 学会等名
      第144回東海産科婦人科学会
    • 招待講演
  • [学会発表] The impact of COVID-19 on Cytomegalovirus Immunoglobulin M antibody titer2023

    • 著者名/発表者名
      Masatoki Kaneko
    • 学会等名
      The 22nd Congress of the Federation of Asia and Oceania Perinatal Societies
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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