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2022 年度 実施状況報告書

我々が同定した卵巣明細胞癌早期発見に有用な血清糖蛋白マーカーの測定キット開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K09457
研究機関東海大学

研究代表者

池田 仁惠  東海大学, 医学部, 講師 (20365993)

研究分担者 三上 幹男  東海大学, 医学部, 教授 (30190606)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード卵巣癌 / 子宮内膜症 / 血清腫瘍マーカー / 糖ペプチド / 網羅的血清糖ペプチドスペクトラ解析(CSGSA)
研究実績の概要

我々が同定したFS-C4BP (Fully-sialylated alpha-chain of complement 4-binding protein)は、LC/MS(液体クロマト/質量分析)によって測定される。臨床応用に向けてレクチン電気泳動によるFS-C4BP簡易測定方法キットの作成は完遂し、測定結果も卵巣明細胞がん例と子宮内膜症性嚢胞例の判別はCA125,HE4,TFPI2よりもAUCが高い結果を得られた。しかしFS-C4BP糖ペプチド単離行程のステップが多く時間がかかり、臨床応用にはより簡易化が必要であるという解決が困難な問題点が残った。FS-C4BPはC4BPのα鎖根部ペプチドへの付加糖鎖の末端がフルシアル化された糖ペプチド(A2160)である(Gynecol Oncol. 2015;139:520-8)。そこで同ペプチド部分で糖鎖末端がすべてシアル化された糖ペプチドA1958とすべてはシアル化されていない糖ペプチドA1813を用いて、新たな腫瘍マーカーとして“FS-C4BP index(A1958/A1958+A1813)”を考案した。A2160, A1813,A1958の違いはペプチドのアミノ酸配列はみな同じであるが、付加された糖鎖構造に違いがあり(A1813とA1958は末端以外の糖鎖構造が同じ)、さらに末端糖鎖がフルシアル化されているか(A2160,A1958)、いないか(A1813)が異なる。つまり、C4BPのα鎖根部ペプチドの付加糖鎖のフルシアル化の%をFS-C4BP indexとして、LC/MSのそれぞれの糖ペプチドピーク測定値から算出した。FS-C4BP indexの卵巣癌の予後判定バイオマーカーとしての意義を検討した。
また、新規に開発されたWFA+-セルロプラスミン測定系(日本分子腫瘍マーカー研究会誌 (2433-8575)37巻 Page45-46(2022.))を用いての検討を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

卵巣癌例115例のFS-C4BP indexの測定は完了し、このindexが卵巣癌の予後バイオマーカーになるのかの検討を行っている。
また、WFA+-セルロプラスミン測定系に関しても温度設定・リコンビナントレクチン供給の問題が生じ解決策を検討している。

今後の研究の推進方策

本研究ではすでに、2021年3月末、卵巣癌、婦人科良性腫瘍例、健常人例の合計で2082例を収集し終えており、FS-C4BP indexの測定を上記多数例で開始する。これによって卵巣癌と非癌の鑑別にFS-C4BP indexがどの程度寄与できるかを検討する。
問題点が解決次第、WFA+-セルロプラスミン測定系を用いて検討を進める。少数例の検討でWFA+-セルロプラスミンは卵巣明細胞癌と子宮内膜症性嚢胞との鑑別に優れているが、CA125,CA72-4,HE4,TFPI2などの既存血清糖蛋白マーカーとの比較が必要であり、既存マーカーについては明細胞癌178例、内膜症嚢胞66例の測定を開始する。WFA+-セルロプラスミン測定が可能となれば、上記の既存血清糖蛋白マーカーとの比較解析を即座に行うことが可能である。

次年度使用額が生じた理由

昨年度、FS-C4BP簡易測定方法キットの作成は完遂したが、FS-C4BP糖ペプチド単離行程に多く時間がかかり、臨床応用には適さないとの結果より、LC/MSによるFS-C4BP indexの測定に舵を切った。さらにWFA+-セルロプラスミン測定系に関しても温度設定・リコンビナントレクチン供給の問題が生じ解決策を検討が必要となった。以上の2点より、助成金の繰り越しが生じた。今年度は、FS-C4BP index測定に舵を切ったことでその測定に助成金に充当する予定である。さらに、WFA+-セルロプラスミン測定系についても問題点の改善に向けて検討を行っていく予定であり、さらにWFA+-セルロプラスミンとの比較対象となる、CA125,CA72-4,HE4,TFPI2などの既存血清糖蛋白マーカーの測定に助成金を充当する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] ROS1 as a possible prognostic biomarker of cervical adenocarcinoma: An exploratory analysis with next-generation sequencing2023

    • 著者名/発表者名
      Machida Hiroko、Matsuo Koji、Tanaka Masayuki、Kitatani Kanae、Takase Akinori、Yokoyama Keiko、Kajiwara Hiroshi、Yasaka Miwa、Ikeda Masae、Yoshida Hiroshi、Hirasawa Takeshi、Mikami Mikio
    • 雑誌名

      Gynecologic Oncology

      巻: 171 ページ: 59~66

    • DOI

      10.1016/j.ygyno.2023.02.006

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 子宮頸癌における組織浸潤の術前診断についての検討2022

    • 著者名/発表者名
      矢坂美和、町田弘子、飯田哲士、池田仁惠、吉田浩、平澤猛、三上幹男
    • 学会等名
      第64回日本婦人科腫瘍学会学術講演会
  • [学会発表] 子宮頸部腺癌における個別化医療の探索2022

    • 著者名/発表者名
      町田弘子、矢坂美和、宮澤麻里子、飯田哲士、池田仁惠、吉田浩、平澤猛、三上幹男
    • 学会等名
      第64回日本婦人科腫瘍学会学術講演会
  • [学会発表] Wisteria floribunda Agglutinin-Reactive Ceruloplasmin:早期卵巣癌バイオマーカーの開発2022

    • 著者名/発表者名
      池田仁惠、矢坂美和、林優、町田弘子、飯田哲士、吉田浩、平澤猛、三上幹男
    • 学会等名
      第64回日本婦人科腫瘍学会学術講演会
  • [学会発表] 子宮体癌に発生した悪性血管周囲類上皮細胞腫瘍(PEComa)の一例2022

    • 著者名/発表者名
      梶原博、飯田哲士、池田仁惠、吉田浩、平澤猛、三上幹男
    • 学会等名
      第64回日本婦人科腫瘍学会学術講演会
  • [学会発表] 子宮頸癌FIGO2018変更後の予後についての検討2022

    • 著者名/発表者名
      矢坂美和、飯田哲士、池田仁惠、吉田浩、平澤猛、三上幹男
    • 学会等名
      第74回日本産科婦人科学会学術講演会
  • [学会発表] 子宮頸癌における傍大動脈リンパ節郭清の意義は2022

    • 著者名/発表者名
      義澤航平、矢坂美和、飯田哲士、池田仁惠、吉田浩、平澤猛、三上幹男
    • 学会等名
      第74回日本産科婦人科学会学術講演会
  • [学会発表] The utility of FS-C4BP as a prognostic biomarker for epithelial ovarian cancer.2022

    • 著者名/発表者名
      Hayashi I, Momose H, Kashiwagi H, Hayashi M, Machida H, Ikeda M, Ishimoto H, Mikami M
    • 学会等名
      第74回日本産科婦人科学会学術講演会

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公開日: 2023-12-25  

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