研究課題/領域番号 |
21K09459
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
鍔本 浩志 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80340975)
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研究分担者 |
上田 友子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (50793585)
井上 佳代 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (80594754)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脂質メディエーター / 腫瘍関連マクロファージ |
研究実績の概要 |
CaSki細胞株を用いてイトラコナゾール投与によるBLMの変動を包括的に検討したところ、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸由来のいくつかのBLMの変動が認められた。イトラコナゾールは既知の作用としてcytochrome P-450の阻害作用があり、新規の作用機序としてエイコサペンタエン酸由来のレゾルビンE2/E3が産生されることがわかった。これらの代謝系を12/15-LOX阻害剤であるML351で抑制することによりCaSki細胞に対するイトラコナゾールの作用が干渉された。レゾルビンE2/E3は強力な抗炎症作用が報告されていたがこれまでがん関連の報告は無かった。類似のレゾルビンD1/D2は、レゾルビンE2/E3に比べて抗炎症作用は弱いがTAMを介するがん細胞増殖抑制効果が報告されており、イトラコナゾールのレゾルビンE2/E3を介するTAMとの関連が示唆された。イトラコナゾールのがん種横断的予後改善効果がTAMを介するのではないかと考えTHP-1細胞からM1型、M2型マクロファージを樹立し、CaSki細胞との共培養でM1型マクロファージとの共培養によりCaSki細胞の増殖が抑制されることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CaSki細胞株を用いてイトラコナゾール投与によるBLMの変動を包括的に検討したところ、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸由来のいくつかのBLMの変動が認められた。イトラコナゾールは既知の作用としてcytochrome P-450の阻害作用があり、新規の作用機序としてエイコサペンタエン酸由来のレゾルビンE2/E3が産生されることがわかった。これらの代謝系を12/15-LOX阻害剤であるML351で抑制することによりCaSki細胞に対するイトラコナゾールの作用が干渉された。THP-1細胞からM1型、M2型マクロファージを樹立し、CaSki細胞との共培養でM1型マクロファージとの共培養によりCaSki細胞の増殖が抑制されることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
腫瘍微小環境(tumor microenvironment, TME)ではM2型TAMが腫瘍の増殖、浸潤、転移を促進し免疫寛容を誘導するとされており、腫瘍を保護するM2型TAMから攻撃型のM1型TAMへの極性変化を誘導する複数の分子に対するターゲット治療が前臨床試験まで進んでいる。したがって、共培養結果を踏まえて、はじめにイトラコナゾールのM1型再分極作用を検討する。イトラコナゾール添加培養するとM1型様に形態が変化するか、Western blotsやELIZAでマクロファージのM1、M2マーカーの変化を検討する。
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