研究課題
CaSki細胞株を用いてイトラコナゾール投与によるBLMの変動を包括的に検討したところ、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸由来のいくつかのBLMの変動が認められた。イトラコナゾールは既知の作用としてcytochrome P-450の阻害作用があり、新規の作用機序としてエイコサペンタエン酸由来のレゾルビンE2/E3が産生されることがわかった。これらの代謝系を12/15-LOX阻害剤であるML351で抑制することによりCaSki細胞に対するイトラコナゾールの作用が干渉された。レゾルビンE2/E3は強力な抗炎症作用が報告されていたがこれまでがん関連の報告は無かった。類似のレゾルビンD1/D2は、レゾルビンE2/E3に比べて抗炎症作用は弱いがTAMを介するがん細胞増殖抑制効果が報告されており、イトラコナゾールのレゾルビンE2/E3を介するTAMとの関連が示唆された。イトラコナゾールのがん種横断的予後改善効果がTAMを介するのではないかと考えTHP-1細胞からM1型、M2型マクロファージを樹立し、CaSki細胞との共培養でM1型マクロファージとの共培養によりCaSki細胞の増殖が抑制されることを確認した。イトラコナゾールによりM2 TAMがM1に変換(repolarization)することが、形態的にも、包括的蛋白質量分析、ELISA、Western blotsでの細胞膜表面抗原及び分泌蛋白のM1/M2マーカーの発現変動でも証明した。ITZ処理後のM2 TAMの培養上清や共培養ではCaSki 細胞の増殖が抑えられた。シングルセル解析及び3色蛍光免疫染色により作用機序はリソソームのコレステロール輸送障害が示唆された。
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Anticancer Res
巻: 43 ページ: 569-580
10.21873/anticanres.16193
巻: 43 ページ: 1981-1984
10.21873/anticanres.16358.