研究課題
基盤研究(C)
夜間に分泌量が増えるホルモン、メラトニンが哺乳類の性成熟に必須の神経ペプチドであるキスペプチン発現を介して思春期開始に抑制的な働きを持つ可能性を検討した。メラトニン投与は、思春期開始時期のメスラットの成長速度、卵巣重量、卵胞発育にほとんど影響せず、黄体形成ホルモン量、キスペプチン発現もコントロール群との間に有意な差がみとめられなかったことから、メラトニンが思春期におけるキスペプチン発現の強力な抑制因子である可能性は低いと考えられた。
生殖生理学
メラトニンは外界の明暗環境の情報伝達に関わるホルモンであるため、本研究によって思春期発来に必須のキスペプチン発現への影響を明らかにすることで、ヒトを含む哺乳類における照明環境と性成熟の関係性についての知見が得られることが期待された。投与経路などによる制限はあるものの、メラトニンが思春期の開始に与える影響は報告されてきたように強固でない可能性が示唆された。