研究実績の概要 |
婦人科がん、特に超音波装置によって病変部を描出可能な子宮頸癌、子宮体癌に対する新たな治療戦略の開発として本研究は子宮頸癌および子宮体癌の細胞株をマウスに皮下移植したモデルを用いて研究を行った。子宮頸癌においては、BUS-DDS技術を抗がん剤に併用した場合、これまで判明していたCDDPの抗腫瘍効果増強だけでなく、DDS薬であるPEG化リポソーマルドキソルビシン(PLD)でも同様に抗腫瘍効果の増強を示すことがわかった。この抗腫瘍効果増強は、10分の1の濃度でもBUS-DDSを併用すれば同等の効果に匹敵するほどであった。 また、BUS-DDSの副作用についても検証を行った。抗腫瘍効果増強が、抗がん剤の代表的な副作用である骨髄抑制を増加させないかについて、マウスの血液検査を行って調べたところ、骨髄抑制増強を認めなかった。さらに、超音波が当たり抗がん剤が多く作用する可能性がある局所(小腸、直腸、卵巣)での組織障害の有無を組織学的に検討したところ、明らかな組織障害を認めなかった。ここまでの研究成果は論文で発表した。Yamaguchi, K. Matsumoto, Y., et al., Enhanced antitumor activity of combined lipid bubble ultrasound and anticancer drugs in gynecological cervical cancers. Cancer Sci, 2021
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