研究実績の概要 |
初年度にこれまでの成果を論文にまとめた際、血管透過性向上による抗腫瘍効果という本技術の理論を実証する必要があると判断した。そこで、生体内共焦点顕微鏡でのビデオレート撮影を用いて実際に超音波照射により薬剤が腫瘍組織に取り込まれる様子を検証することにした。蛍光色素でもある抗がん剤のPEG化リポソーマルドキソルビシン(PLD)が腫瘍内に蓄積する量が、BUS-DDS下投与では通常の投与にくらべて格段に増加していることをリアルタイムで経時変化を追う撮影に成功した。通常の血管投与と比較し、BUS-DDS技術を用いた場合、腫瘍組織への蓄積は60分後には2倍となり、その差は時間経過を追う毎に開いていくことを示すことが出来た。この結果は、BUS-DDS技術がどのように抗腫瘍効果を増強させるのかという点における仮説を裏付ける結果である。このデータは現在投稿準備中である。 また同時に、MVAシステムを用いた吸引による子宮内膜組織診の有用性に関する研究も取り組んだ。MVAによる子宮内膜組織診は、従来の金属キューレットによる組織診採取より標本分量および標本の質が高く、手術室で麻酔下により行う子宮内膜全面掻爬術で得られる子宮内膜組織と同等であることが示された。この結果は論文で発表した。Saito E, Matsumoto Y, Nitta S, et al. Manual vacuum aspiration (women's MVA) for endometrial biopsy for patients with suspected endometrial malignancies. J Obstet Gynaecol Res. 2022.
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