前年度に開発した子宮肉腫鑑別AIを改良する目的で、3施設の子宮肉腫と子宮筋腫を罹患 した患者、子宮肉腫:63例、子宮筋腫:200例を学習用データセットとして用いた。深層学習と評価判定は、MobileNetV2というネットワークモデルを用いた。 まず初めに、この学習用データセットで「腫瘍判別AI(Tumor Image Filter)」という腫瘍が MRI 画像に含まれるか否かを判別するAIを開発した。腫瘍判別AIで腫瘍が含まれると判定された画像を抽出した際の正診率は92.68%でした。 続いて、腫瘍判別AIに既存の子宮肉腫鑑別AIを組み合わせることにより、医師がMRI画像 を選別することなく、自動化された形で子宮肉腫を診断できるシステム「子宮肉腫自動診断AI (AutoDiag-AI)」を開発した。学習・検証用データセットを用いた交差検証では、 子宮肉腫自動診断AIの正診率は89.32%であった。 さらに、当施設を受診した子宮肉腫と子宮筋腫に罹患した患者の交差検証に用いていない未知の症例データ(子宮肉腫:8例、子宮筋腫:24例)を追加の検証用データセットとして新たに用意し評価を行った。その結果、子宮肉腫自動診断AIの正診率は 92.44%であった。同データセットを放射線科専門医が診断した場合の正診率が 84.38%であったことから、子宮肉腫自動診断AIは、新しい症例データに対しても高い診断精度が得られることが示唆された。上記自動診断AIを卵巣腫瘍も利用して現在、解析中である。
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