研究課題/領域番号 |
21K09467
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
田村 直顕 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (90402370)
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研究分担者 |
小田 智昭 浜松医科大学, 医学部附属病院, 医員 (00884743)
磯村 直美 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (80647595)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 羊水塞栓症 |
研究実績の概要 |
2021年度は羊水塞栓症症例の主要な全身各臓器のトリプターゼ染色の染色面積について検討を行った。1481例の臨床情報から現時点で最終的に12例の羊水塞栓症と3例のコントロール患者の全身臓器の標本作成を達成した。肝臓、腎臓、副腎皮質、心筋、肺、子宮の組織を用いて比較検討し、心筋、肺、子宮筋において肥満細胞周囲のトリプターゼ染色範囲の有意な増加を認めた。羊水塞栓症においては、心筋、肺、子宮筋において特異的に肥満細胞が脱顆粒していることを示唆する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
羊水塞栓症は心肺虚脱と異常出血に関連した症状を呈することが多いことが知られていたが、2021年度の研究によって臓器レベルの障害が心筋、肺、子宮筋に特異的に発生していることが明らかになった。今後、羊水塞栓症の臓器特異的な病態形成のプロセスを検討する上で妥当な方向性を示す進捗であった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は羊水塞栓症の死亡症例の主要臓器における特異的な所見として、肝臓、腎臓、副腎に対し、心筋、肺、子宮筋において有意なトリプターゼ陽性所見を認めた。引き続き、HE染色、特殊染色(アルシアンブルー染色)、免疫組織化学染色(ZnCP-1、サイトケラチン、C5aR、オキシトシン受容体、コネキシン)により、組織内の羊水・胎児成分、炎症所見、アナフィラキシー様反応、その他の臓器障害の所見について検討する。さらにマイクロダイゼクション法を利用し、組織内の活性化肥満細胞をターゲットとして細胞を回収し、RNAを抽出してマイクロアレイにより網羅的に病態形成に関わる因子を探索する。また、同組織検体を対象として遺伝子バリアントの解析を行い、羊水塞栓症発症のリスク因子を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、旅費および研究成果発表に関わる諸費用が予定より少なく、次年度使用額が発生した。2022年度は、研究推進のための試薬および物品を購入する予定があり、次年度使用額は2022年度に使用する予定である。
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