研究課題/領域番号 |
21K09470
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
八木 麻未 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (30793450)
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研究分担者 |
上田 豊 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10346215)
平松 宏祐 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (10650591)
中川 慧 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30650593)
小林 栄仁 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50614773)
三好 愛 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50880712)
木村 正 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90240845)
木村 敏啓 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (90584524)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 子宮体がん / 生存率 / がん登録 |
研究実績の概要 |
本研究は、大阪府がん登録データを用いて子宮体がん・卵巣がんの疫学的解析を行ってその動向を明らかにし、また罹患・死亡率・治療方法の経年変化を検証し、治療効果の長期的評価を行い、さらにはサバイバーに対するサバイバー生存率の情報提供の意義を検証することを目的としている。 2021年度は、子宮体がんに関する解析および本人・家族ががんを経験した男女を対象とする生存率の理解に関するインターネット調査を行った。 子宮体がんの解析によって、子宮体がんの年齢調整罹患率は1980~2000年は緩やかに増加していたが、2000年に更なる増加に転じ、2011年以降は鈍化していることが明らかとなった。子宮体がんの大半を占める類内膜腺がんは増加傾向が緩やかになりつつあるが、漿膜性腺がんやがん肉腫などは一貫した増加が続いており、今後しばらく子宮体がんが減少に転じるとは考えにくいと思われた。子宮体がんの10年相対生存率は、進行期が「限局性」・「隣接臓器浸潤」では2001年以降に有意に上昇していた。術後補助療法として放射線療法に比して優越性が示されている化学療法が実施される機会が増加し、予後の改善に寄与したことが示唆された。進行症例は予後の有意な改善は認められず、治療戦略の更なる改善が求められる。サバイバー生存率は生存年数が増加するほど上昇しており、患者にとって大きな希望となり得る情報であると考えられた。 本人または家族ががんに罹患した経験のある40~60代の男女1,800名を対象にしたインターネット調査では、生存率は多くの人にとって、病気・治療に次ぐ知りたい情報であることが判明した。5年相対生存率は多くの人が理解していると回答したが、サバイバー生存率は理解が難しいと回答した割合が多く、サバイバーへの有用な情報提供につなげるためには情報提供時に工夫が必要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2021年度に予定していた子宮体がんの解析を完了し、学会発表・論文発表を行った。2021年度中に2022年度に予定していた卵巣がんの解析を開始した。 また、2023年度に予定しているサバイバー生存率を患者に提供する意義の評価のために、本人または家族ががんに罹患した経験のある40~60代の男女を対象にインターネット調査を実施し、サバイバー生存率が患者とその家族にとって有用な情報となるための情報提供方法を検討するための基礎情報を収集した。
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今後の研究の推進方策 |
現在実施している卵巣がんの解析を完了し、学会発表・論文発表を行う予定である。また、2023年度に予定しているサバイバー生存率を患者に提供する意義の評価について、2022年度中に実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
少額の残高が生じたため、次年度に繰り越すこととした。
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