研究実績の概要 |
当科関連病院からDDEC症例を追加し、合計20例程度集積した。既存のG3の類内膜癌やがん肉腫症例と臨床病理学的因子(患者年齢、手術進行期、筋層浸潤、脈管侵襲、リンパ節転移、抗がん剤感受性等)について比較検討した結果、DDECは他のいかなる分化度、組織型に比べて予後不良であることが判明した。さらに免疫染色(p53, ARID1A, PTEN, ER, PR等)を行い、病理学的特徴を明確にしている最中である。DDEC3症例を用いて、現在全エクソンシークエンス(WES)解析を行っている。高分化癌成分、未分化癌成分に共通な遺伝子異常は発生初期に関わるイベントであり、未分化癌成分のみで同定された遺伝子異常は腫瘍の脱分化に関わるイベントと想定される。術前の子宮内膜組織診断で高分化癌成分と未分化癌成分が混在するパターンを示した場合は、手術検体をもちいて術後直ちにオルガノイド培養を開始する。オルガノイド培養が確立されたら、他の組織グレード(G1、G2、G3)のオルガノイドとの抗がん剤感受性の相違について検討する。さらにWES解析で得られたActionable 変異、Druggable変異の情報を基にGenotype-matched therapyの前臨床モデルとして3次元培養での分子標的薬感受性試験を行い、DDECの新規治療法を検討する。コントロールの子宮体癌G1のオルガノイドの作成には成功しているがDDECのオルガノイドの作成は未だ完成に至っていない。
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