ハイドロゲルを基質として用いた二次元培養により、卵巣癌幹細胞の誘導を試みた。その結果、ハイドロゲル上での培養により得られた細胞はがん幹細胞の特性(幹細胞バイオマーカーの高発現、高い抗がん薬耐性、およびミトコンドリア代謝への依存性)が観察された。さらにin vivo実験では、これらの細胞は対照細胞に比べてより高い造腫瘍能を示した。マイクロアレイ解析の結果、卵巣癌幹細胞に特異的に高発現する遺伝子Xを特定した。これはこれまでの研究では幹細胞性との関連が報告されていなかった分子である。今後は、遺伝子Xを標的とした阻害療法の有効性を検討することで、卵巣癌治療の新たな治療法の開発に繋がる知見と考えられる。
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