研究課題
本研究の対象疾患である難治性希少癌である卵巣粘液性癌のゲノム解析を開始した。婦人科がんに対するメタボローム解析の意義を検証する研究の結果、卵巣がんに対する診断、化学療法感受性・予後の予測、治療標的の同定などに有用であることを報告した(Hishinuma E, Shimada M. Wide-targeted metabolome analysis identifies potential biomarkers for prognosis prediction of epithelial ovarian cancer. 2021. Toxins)。この結果を踏まえて、ゲノム解析を進めつつ、メタボローム解析を加えた多層的オミックス解析により本研究対象である難治性希少癌である卵巣粘液性癌に対する新規治療標的の開発、治療効果・予後予測などの予測医療をより実現化するためにメタボローム解析を加えることとし、本研究対象を含めた卵巣がん検体350例のメタボローム解析を行った。現在、卵巣癌の検体を組織型別、進行期別などの解析を進めており、卵巣粘液性癌に対する診断、化学療法感受性・予後を予測するメタボロームプロファイルの解析結果が期待される。卵巣粘液性癌のゲノム解析を施設内で行える体制整備が完了したため、検体集積に努めつつ、卵巣粘液性癌のゲノム解析を進めて、ゲノム解析とメタボローム解析との統合解析を令和4年度の目標とする。
3: やや遅れている
卵巣粘液性癌(原発性、転移性)、境界悪性腫瘍のゲノム解析を開始したが、本研究の対象疾患の検体収集率がコロナ感染による診療調整の影響を受けてやや鈍化しており、ゲノム解析の進捗はやや遅れている。これまで進めてきたメタボローム解析の有用性が示されつつあることから、多層的オミックス解析を進める方針を加え、研究課題である難治性希少癌である卵巣粘液性癌の診断、治療開発に加えて、化学療法感受性、予後予測などを含めた予測医療の実現にも取り組んでいく。
これまで収集した難治性希少がんである卵巣粘液性癌(原発性、転移性)、境界悪性卵巣粘液性腫瘍の検体に加えて、引き続き本研究の対象となる疾患の検体収集に努める。ゲノム解析に加えて、メタボローム解析を進めており、婦人科がんに対するメタボローム解析が、診断、治療標的、治療効果・予後予測に有用である可能性が示されつつあることから、メタボローム解析も含めた多層的オミックス解析を可能とする研究整備に努めつつ、各解析を促進していく。
コロナ感染による診療調整の影響も加わり、難治性希少癌である本研究対象の検体収集率がやや鈍化したため、未使用額が生じた。ゲノム解析に加えて、血漿メタボローム解析を含めた多層的オミックス解析を進めるため、令和4年度の請求額に合わせて令和4年度に使用する予定である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Toxins (Basel)
巻: 13(7) ページ: 461
10.3390/toxins13070461.