研究課題
関係機関の倫理審査の承認を受けたのちに患者様の同意を取得した上で,研究を遂行した。卵巣がん・子宮体がんヒト臨床組織検体よりがん細胞と非がん細胞(間質細胞・免疫細胞)の分離抽出を行った。純粋なin vitro 3次元浮遊培養モデルを用いたがん細胞と非がん細胞の共培養により,がん細胞の増殖への影響を検証し得た。一方で,同じ組織型を呈する腫瘍であっても,異なる症例由来の細胞により,その効果には差が生じていた。がん細胞・非がん細胞の関係性に寄与すると考えられる因子Xの発現レベルは各がん細胞ごとに異なっていた。以上より,がん細胞の発現レベルにより周囲の微小環境を形成する細胞との関係性,微小環境を形成する細胞の作用に差が生じていると考えられた。くわえて,因子Xの発現は,培養条件により変化していたことから,因子Xの発現は非がん細胞以外のほかの因子によっても影響を受けているものと考えられた。一方,同一症例由来のがん細胞・間質細胞・免疫細胞をセットで安定して保存すること,および非がん細胞への発現ベクターの導入することなどに手技的に難渋しており,空間的な細胞間の関係性の検証・確認には至っていない。
3: やや遅れている
COVID19流行に伴う実験物品の納品遅延が生じたため,非がん細胞とがん幹細胞の培養方法・共培養モデル・発現ベクターの導入の条件検討に時間を要しており,計画よりもやや遅れていると考える。
3Dプリンター技術を応用するなど複数の培養モデルの検証検討を行い,がん幹細胞と線維芽細胞の機能的因果関係の検証を進めるとともに,がん細胞微小環境を支える他の因子(免疫細胞・炎症因子など)との関係性を明らかにする。
COVID19流行にともない,旅費が不要となったため次年度へ繰り越します。次年度の旅費に使用予定です。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
STAR Protoc .
巻: 2 ページ: 100354
10.1016/j.xpro.2021.100354