| 研究課題/領域番号 |
21K09497
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| 研究機関 | 長崎大学 |
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研究代表者 |
三浦 清徳 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (00363490)
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| 研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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| キーワード | 胎盤 / RNA / circRNA / 妊娠 / 発現量 |
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| 研究実績の概要 |
近年、環状RNA（circRNA)がmicroRNAやmRNAの機能を調節するnon-coding RNAとして注目されている。circRNAは、スプライシングが通常と逆方向に起こる (back splicing) ことで、5’末端と3’末端が結合した環状構造のRNAが合成される。circRNAは、直鎖状RNAと異なる機能を有することが知られており、様々な疾患とcircRNAの関連が指摘されてきている。私どもの研究では、胎盤に特異的に発現するcircRNAに着目した。Gongらは、RNA-seqによって胎盤に発現する多数のcircRNAを同定した。このうち、全胎盤から100%発現していたcircRNAが230種類あった。既存のデータベースで胎盤のみに発現する8種類のcircRNAを抽出し、Gongらの胎盤に100%発現するcircRNAと比較したところ、ただひとつの環状RNA (hsa_circ_0142260) がoverlapしていた。これを、胎盤特異的circRNAと仮定した。PCRでhsa_circ_0142260が胎盤の絨毛組織に特異的に発現し、脱落膜・羊膜・臍帯には発現していないことを確認した。PCR productは、サンガーシーケンス解析で5’末端と3’末端が結合した配列を有することを確認した。ついで、妊娠初期５例、妊娠中期５例、および妊娠末期５例の胎盤組織からRNAを抽出し、妊娠期間中における胎盤特異的circRNAの発現量の推移を検討し、胎盤特異的circRNAの発現量は妊娠初期から末期にかけて増加していることを明らかにした。今後、胎盤組織と母体血中における間葉系幹細胞並びにエクソソームにおけるhsa_circ_0142260の発現量と陣痛との関連をみて、hsa_circ_0142260の陣痛発来に関するバイオマーカーとしての可能性を探る。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画の通り、胎盤組織でのみ発現している胎盤特異的circRNAを同定することができた。一方、予定帝王切開と陣痛発来後に帝王切開になった例の胎盤組織の集積が遅れている。次年度は、母体の血液検体とともに胎盤組織も集積して、胎盤組織と血液検体の間葉系幹細胞並びにエクソソームにおける胎盤特異的circRNAと陣痛発来との関連を明らかにする予定である。
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| 今後の研究の推進方策 |
胎盤組織におけるエクソソーム並びに間葉系幹細胞における胎盤特異的circRNAの発現量の推移を明らかにする。また、母体血漿中におけるエクソソーム並びに間葉系幹細胞における胎盤特異的circRNAの発現量の推移を明らかにする。そして、陣痛発来のバイオマーカーとしての胎盤特異的circRNAの臨床的意義を明らかにする。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、予定帝王切開と陣痛発来後に帝王切開になった例の胎盤組織の集積が遅れた。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で実験に使用する物品の入手に時間がかかり、当初予定していた間葉系幹細胞やエクソソームの単離まで実験を行うことができなかったため、次年度使用額が生じた。次年度には、母体の血液検体とともに胎盤組織も集積し、胎盤組織と血液検体の間葉系幹細胞並びにエクソソームにおける胎盤特異的circRNAと陣痛発来との関連を明らかにするための実験に使用する物品を購入する予定であり、次年度使用額は適正に使用される予定である。
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