研究課題/領域番号 |
21K09499
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
鈴森 伸宏 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (70326148)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 胎児染色体 / 胎生期形態異常 / 流産 / 不育症 / トリオ分析 / エクソーム解析 |
研究実績の概要 |
胎児染色体異常・胎生期形態異常の病理分析として、流産・死産児について胎児形態分析を行い、顔面、胸部、腹部、四肢、泌尿生殖器系など形態を精査している。また、2回以上流産・死産を繰り返す不育症症例について、流産後に症例を選別し、全症例の絨毛染色体分析で核型を確認してから、夫婦と胎児(絨毛)でトリオ分析を実施している。 夫婦と胎児(絨毛)の遺伝学的トリオ分析としては、2回以上の流産・死産例で、原因不明の不育症の家系において、夫婦と絨毛の染色体分析で全て正常核型の16家系を研究対象とした。説明と同意のうえで、夫婦の末梢血、または唾液よりゲノムDNAを抽出、胎盤絨毛成分よりゲノムDNAを抽出し、合計48検体を解析対象とした。全エクソーム解析によるトリオ分析は、蛍光法を用いたDNAの定量、Agilent社 TapeStationを用いたDIN値の測定によるDNA分解の有無を確認し、SureSelect XT Reagentを用いてライブラリ調製を行い、SureSelect Human All Exon Kitを用い、エクソン領域のキャプチャーを行なった。シーケンスにはNovaSeq6000を使用している。 全エクソーム解析で出力されたシーケンスデータは, 解析プログラムを用いて参照配列にマッピングを行っている。全エクソーム解析によるトリオ分析について、ホモ接合体変異や複合ヘテロ接合体変異、病的バリアントの有無を解析している。臨床ゲノム情報統合データベースなどのデータベース分析、PubMed検索でVariantについて精査している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
夫婦と胎児(絨毛)の遺伝学的トリオ分析として、2回以上の原因不明の流産・死産例で、夫婦・胎児(絨毛)の染色体分析で全て正常核型の16家系、48検体を解析した。対象者は29-40歳の不育症女性とその夫、胎児(流産絨毛)とし、2-6回の初期流産歴を有して出産既往は問わないこととした。また、不育症精査にて原因不明、絨毛染色体検査にて染色体正常核型を対象とした。夫婦の末梢血または唾液、胎盤の絨毛成分よりゲノムDNAを抽出して、全エクソーム解析によるトリオ分析を行い、ホモ接合体変異や複合ヘテロ接合体変異、病的バリアントの有無を解析している。 Germline mutationの検出は、Genomon-exomeを用いて行った。配列リードはBurrows-Wheeler Alignerを用いてhg19ゲノムを参照とし、VariantはPicard toolsを用いてPCR duplicateを除去し、VarScan2を用いて検出した。Variant allele frequency>0.2 (20%) をカットオフ値とした。ACMGのガイドラインにより、(1) ESP6500 exome variant server、(2) 1000 genomes projectでマイナーアレル頻度が1%を超えるSNPsを除去した。このVariantは、病原性が既に報告された原因Variant、あるいは関連する障害を引き起こすと強く予想されるVariantとした。各Variantの具体的な病原性については、NCBIのHuman Genome Mutation Database、PubMedにより検索している。
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今後の研究の推進方策 |
新たな流産・死産児について胎児形態分析を行い、顔面、胸部、腹部、四肢、泌尿生殖器系など形態を精査していく。また、2回以上流産・死産を繰り返す原因不明の不育症症例について、流産後に症例を新たに選別し、全症例の絨毛染色体分析で核型を確認してからトリオ分析していく方針である。これまでの検討で、胎児(絨毛)に引き継がれたRare variantが、有意に母由来のものが5症例あり、絨毛として全エクソーム解析をしていたものの母由来のDNA混入によるものと推察され、今後はShort-tandem repeat解析にて個人識別を行っていく予定である。 さらに着床前診断へ応用として、ゲノムDNAのトリオ分析で、夫婦の病的バリアントで起きる重篤な遺伝性疾患と判断される症例を特定する。トリオ分析で遺伝的要因が明らかなときは、着床前診断の対象症例として考慮する。また、妊娠10週以降の胎生期形態異常流産・死産例を含めて対象とし、病理学的に原因分析し、状況に応じてトリオ分析を推進していく。シーケンス結果は、臨床ゲノム情報統合データベースなどのデータベース分析をして、PubMed検索でVariantの意義について詳しく調べていく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費購入後に端数が生じたため、13,692円の残金となり、次年度に消耗品として使用予定である。
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