研究課題
子宮内膜症は月経困難症による疼痛が特徴的であり、症状の慢性持続はQOLを低下させる。疼痛に関連のある神経ペプチドCGRPとその受容体RAMP1が子宮内膜症の進展に関係しているか否かを解明することを目的として本研究に取り組んだ。実験動物に雌性野生型マウス(WT)C57BL/6マウスとRAMP1ノックアウトマウス(KO)を用いドナー(WTまたはKO)マウスの子宮内膜移植片を、宿主(WTまたはKO)の腹膜に移植するマウス異所性子宮内膜症モデルを作成した(WT→WT,KO→KO)。移植後14日目の、移植片にはCGRP陽性神経線維が分布した。またRAMP1はマクロファージと線維芽細胞に発現した。移植片面積・移植片内の血管密度・リンパ管密度および、血管内皮マーカーやリンパ管内皮マーカーおよび血管新生関連遺伝子やリンパ管新生関連遺伝子は、WT→WTに比べKO→KOで減少した。また、移植片に集積するマクロファージや線維芽細胞はWT→WTに比べKO→KOで減少した。さらにマクロファージおよび線維芽細胞は血管新生因子(VEGFA)・リンパ管新生因子(VEGFC・VEGFD)を共発現した。また、培養マクロファージと培養線維芽細胞をCGRPで刺激するとVEGF発現はWT→WTに比べKO→KOで減少した。CGRP受容体阻害剤であるCGRP8-37を持続投与すると、子宮内膜移植片のサイズはvehicle投与に比較して減少し、また移植片の血管新生やリンパ管新生さらに血管新生関連遺伝子およびリンパ管新生関連遺伝子のmRNA発現が低下した。マウス異所性子宮内膜症モデルにおいて、RAMP1受容体シグナルは子宮内膜移植片の血管新生/リンパ管新生を促進することで、子宮内膜症を進展させることが示唆された。
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Mol Med Rep
巻: 28(4) ページ: 192
10.3892/mmr.2023.13079