研究課題/領域番号 |
21K09507
|
研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所) |
研究代表者 |
川口 晴菜 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), その他部局等, 産科・副部長 (00752867)
|
研究分担者 |
柳原 格 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 免疫部門, 部長 (60314415)
西海 史子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 免疫部門, 流動研究員 (60599596)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 子宮平滑筋収縮 / カルシウム濃度 / ウレアプラズマ感染 |
研究実績の概要 |
Ureaplasma感染が早産と関係するという報告は多数存在するが、子宮収縮の機序は明らかになっていない。本研究の目的は、Ureaplasma感染によって子宮平滑筋細胞が収縮する機序について解明することである。 以前、研究室では大腸菌由来のLPSによる早産モデルを作製していた。この早産モデルでは、免疫学的に早産しやすいメスのC3H/HeNとオスのB6D2F1マウスを掛け合わせ、マウスの妊娠15日目に大腸菌(O55:B5)由来のLPSを200μg/kgの濃度で2回(0時間、3時間)腹腔内投与を行った。その結果、妊娠母獣22匹中15匹(68%)が早産を引き起こすことが確認された(Ped Res,2016, 80, 433-9)。このモデルでは早産を誘発しやすい反面、2系統の純系マウスを組み合わせての解析となり、胎児は2系統のマウスの遺伝的な背景の組み合わせとなる為、胎児側の反応については複雑となる。そこで、今年度はマウスの飼育が容易な多産系のマウス系統での子宮内圧の測定を試みた。吸入麻酔を行ったICRマウスの妊娠12日目に腟から圧センサーを妊娠子宮内まで挿入し、子宮内圧の計測を試みた。大腸菌由来のリポポリサッカリイド(LPS)を腹腔内投与し、投与直後から数時間の子宮収縮を計測し、早産、子宮内死亡等の有無を確認した。LPS腹腔内投与群では投与後4時間時点において規則的な陣痛用の子宮収縮を確認した。対照としたPBS腹腔内投与群では同様の反応は認めず、子宮収縮はまれに一過性の収縮が観察される程度であった。また、LPS投与では投与日もしくはその翌日に早産に至ることがあった。今回の検討により、ICR妊娠マウスに対する大腸菌由来LPSによるマウスの子宮収縮を検出系の作製ができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年6月から9月に産休を取得したため、進捗が予定よりやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
大腸菌由来のLPSによるICRマウスの子宮収縮を検出する系ができたことから、今後は、ウレアプラズマ由来のリポペプチドを用いた子宮収縮についての解析を開始する。ウレアプラズマの免疫原性のあるリポペプチドについては、UPM-1を用いる予定である。UPM-1は、ウレアプラズマの主たる宿主免疫系を惹起するリポ蛋白質(MBA)由来の合成ジアシルリポペプチドで、マウスに早産を起こすことが研究室から報告されている(I Reprod Immunol, 2013)さらに、in vitroの検討のため、子宮平滑筋肉腫細胞(SKN細胞)を使用して、ウレアプラズマ感染がSKN細胞にどのような変化を起こすのかといった点についても解析を進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
産休により研究を中断した期間があったため
|