研究課題/領域番号 |
21K09507
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所) |
研究代表者 |
川口 晴菜 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), その他部局等, 産科・副部長 (00752867)
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研究分担者 |
柳原 格 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 免疫部門, 部長 (60314415)
西海 史子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 免疫部門, 流動研究員 (60599596)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 子宮平滑筋収縮 / カルシウム濃度 / ウレアプラズマ感染 / カルシウムブロッカー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、Ureaplasma感染によって子宮平滑筋細胞が収縮する機序について解明することである。子宮平滑筋肉腫細胞(SKN細胞)にUreaplasma parvumを感染させFRETシステムでカルシウムのオシレーションを測定したところ、投与後数秒からカルシウム濃度が上昇することを確認した。Ureaplasma の外膜リポタンパクMBAに対する抗体を結合させたUreaplasma parvum では細胞内カルシウム濃度の上昇を認めなくなった。さらにカルシウムキレート剤であるBAPTA-AM、EGTAにて処理したのちに、SKN細胞にUreaplasma を感染させ、免疫染色したところ、Ureaplasmaの侵入が減少した。以上のことから、Ureaplasmaの細胞内侵入には、カルシウムチャンネルが関与している可能性、UreaplasmaのMBAが細胞内のカルシウム濃度の上昇に関与している可能性が示唆された。 妊娠マウスの腟から子宮内に圧センサー(Millar Mikro-Tipシングル圧力カテーテル)を挿入し、合成したMBAのN末端22アミノ酸残基をジアチル化したリポペプチド(UPM-1)を腹腔内投与したところ、投与後早期から数時間にわたって子宮収縮を認め、多くは翌日には胎児死亡や流産に至ることが確認できた。切迫早産治療で臨床上広く使用されているカルシウム拮抗薬投与後のマウスでは、子宮収縮は有意に減少するが、胎児死亡や流産は防ぐことはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間内に産休があったが、復職後の研究進捗状況は概ね計画通りである。
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今後の研究の推進方策 |
カルシウムキレート剤であるBAPTA-AM、EGTAにて処理したのち、UreaplasmaをSKN細胞に感染させ、MBAの活性に変化があるかについてウエスタンブロット法で検証を重ねる。また、カルシウム拮抗薬によって、Ureaplasmaの細胞内侵入が変化するかについて免疫染色にて確認する。子宮収縮に関与するノックアウトマウスおよびマウスから抽出したノックアウト細胞の樹立に成功しているため、それらを用いてカルシウムチャンネルを介したUreaplasmaの細胞内侵入による細胞内のシグナル伝達について解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究期間内に産休を取得したため
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