研究課題/領域番号 |
21K09512
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
寺川 純平 麻布大学, 獣医学部, 講師 (90777731)
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研究分担者 |
大黒 多希子 金沢大学, 疾患モデル総合研究センター, 教授 (30767249)
藤原 浩 金沢大学, 医学系, 教授 (30252456)
小野 政徳 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70348712)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 子宮内膜 / タモキシフェン / 妊娠 / 子宮体癌 |
研究実績の概要 |
タモキシフェンは、エストロゲン受容体を介した遺伝子発現を調節する選択的エストロゲン受容体調節薬で、組織によって異なった作用を示す。乳腺では抗エストロゲン作用を示すことから、閉経前ホルモン受容体陽性乳癌に対する術後内分泌療法薬として使用されている一方で、子宮においてはエストロゲン作用を示し、副作用として妊孕性を低下させることや子宮体癌の発症リスクを増加させることが報告されている。しかしながら、なぜタモキシフェンが子宮でそのような薬物有害反応を引き起こすのか、その根本的な原因は明らかでない。タモキシフェンの長期投与が乳癌の再発を有意に抑制することが報告されており、今後長期間使用される頻度が増えるに従い、タモキシフェン投与による妊孕性低下や発癌リスク増加の機序解明は重要になっている。このことから、本研究では、薬物有害反応の原因究明を目的とし、タモキシフェンが子宮機能に与える影響について、その分子基盤の解明を目指す。 マウスモデルを用いた研究から、タモキシフェンは単回投与では従来知られている子宮へのエストロゲン作用を示した一方で、ヒトでの投薬を模した一定期間の暴露により、子宮内膜で組織学的変化を引き起こし、その後の妊孕性を低下させることを見出した。妊孕性の低下について、タモキシフェン投与によるホルモン環境への影響と妊娠の各段階への影響を解析している。また、子宮内膜の組織学的変化が前癌状態への細胞変化に関与しているのでないかとの仮説のもと、詳細な解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タモキシフェンがもたらす子宮環境の変化についてマウスモデルで検証を行なっている。乳癌患者の治療目的で投与される相当量のタモキシフェンをマウスに投与した結果、単回投与ではエストロゲンと同様の子宮上皮の細胞増殖と遺伝子発現変化を示したが、長期の投与ではエストロゲンの作用では認められない子宮内膜の組織学的変化を引き起こした。この子宮内膜の変化はタモキシフェン投与終了後にも持続したことから、一過性の変化でないことが明らかになった。これらのマウスでは初回妊娠率がおよそ40%低下した。上皮-間葉間のシグナル伝達について理解を深める必要があることから、子宮内膜の構成に必須なシグナルについて遺伝子改変マウスでの解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
マウスモデルを用いたタモキシフェンの一定期間暴露による妊孕性の低下について、妊娠に関わるホルモン環境への影響を解析するとともに、排卵、卵管輸送、胚着床、胎盤形成、妊娠維持、分娩の妊娠の各段階への影響を検証する。タモキシフェンの長期投与の方法について、経口およびシリコンインプラントによる暴露で同様に子宮内膜の組織学変化が認められたが、使用するマウスの系統の違いによってその後の妊孕性試験の結果に差が生じたことから今後の解析に用いる系統について検討が必要である。 また、子宮内膜の組織学変化が起こる機序を解明すべく、上皮と間葉のそれぞれについて、子宮内膜の構成と恒常性維持に必須なシグナルについて解析を行い、タモキシフェン以外のエストロゲン受容体調節薬を用いた比較解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において、研究のための情報収集と打ち合わせがオンライン開催になり当初予定していた旅費を使用しなかったため。次年度適切に執行する。
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