子宮体癌に対してこれまで多くの分子標的薬が試行されてきたが、いずれも満足な結果は得られていない。網羅的遺伝子解析から子宮体癌は単一の強いがん遺伝子の変異では癌化しにくいことが示されており、腫瘍の生物学的特性に基づいた治療戦略が求められている。これまで「エストロゲン依存性増殖機構」に着目し研究を展開してきた中で、エストロゲン関連受容体(ERRa)が子宮体癌における細胞増殖、浸潤・転移、血管新生、アポトーシス誘導を制御し、これを標的とする化合物が in vitro および in vivo において抗腫瘍効果をもたらすことを実証してきた。本研究では、① ERRaがエストロゲン応答や薬剤感受性に及ぼす影響、② ERRaとがんの代謝異常との関連性、について明らかにすることで、個別化医療実現に向けての新規診断バイオマーカー開発や新たな治療・疾患予防アプローチを提唱する。
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