• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

低酸素刺激とガレクチンファミリーによる胎盤栄養膜細胞の分化制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 21K09526
研究機関金沢医科大学

研究代表者

東海林 博樹  金沢医科大学, 一般教育機構, 教授 (10263873)

研究分担者 酒井 大輔  金沢医科大学, 一般教育機構, 講師 (90632646)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード胎盤形成 / 低酸素刺激 / プロラクチン / ガレクチン / Hif1α
研究実績の概要

本研究では、低酸素刺激とガレクチンファミリーによる胎盤栄養膜細胞の分化制御機構の解明を目的としている。
低酸素応答の主役となるHIF1α遺伝子を胎盤栄養膜細胞特異的にノックアウトし、胎盤形成や仔への影響を解析してきたが、昨年度までに明らかな異常は検出できていなかった。胎盤形成についてはこれまで、組織形態学的な解析を中心に行ってきたが、野生型マウスとの間で大きな違いは認められなかった。今年度、胎盤各種マーカー遺伝子の発現について、RT-PCR法およびin situ ハイブリダイゼーション法による解析を進めた。その結果、母体脱落膜と胎児側の迷路部の間に位置するjunctional zoneを構成する細胞のマーカー遺伝子の発現が、変異マウスでは野生型に比べて減弱していることが判明した。RT-PCRの結果、妊娠16.5日の胎盤で5種類のマーカー遺伝子の発現減弱を認め、この内最も大きく減少していたのはプロラクチンファミリーに属するPrl8aであった。Prl8aのmRNA分布についてin situ ハイブリダイゼーション法により解析すると、野生型との間で発現細胞数に大きな差は認められないが、各細胞での陽性シグナル強度が明らかに低下しており、各細胞における発現量が減少していることが明らかとなった。マウスでは25個以上のプロラクチンファミリー遺伝子が存在し、この内Prl4a1, 7b1, 7d1等は、低酸素応答や血管新生に関わることが報告されている。Prl8aの機能は不明であるが、本研究の結果から、Hif1αがPrl8aの発現制御を介して低酸素依存的な胎盤形成プログラムを制御する可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Hif1αを胎盤栄養膜細胞特異的にノックアウトした場合、全身性のノックアウトに比べて予想以上に影響が小さく、表現型の解明に時間を要した。さらにこれに伴い、Hif1αノックアウトのガレクチンファミリー分子への影響についての解析も遅れている。

今後の研究の推進方策

ノックアウトマウスで発現に変動があった各種マーカー遺伝子について、さらに解析を進め、胎盤形成のどの時期にどの細胞に影響が出ているのか詳細を明らかにする。
特に発現減少が顕著で、機能が不明のPrl8aについては、新たにPrl8aノックアウトマウスの作製を検討する。
また、HIF1αノックアウトによって発現が変動するガレクチン分子の探索も継続する。ガレクチン分子に対する抗体の収集も進めているので、RT-PCR法等による遺伝子発現解析に加えて、タンパク質の発現分布も比較していく。
以上により、Hif1αに始まる低酸素応答のメカニズムの一端を解明したい。

次年度使用額が生じた理由

今年度は他の研究プロジェクトと試薬等を共有できたこと、また、学会が地元開催のものが多かったために旅費がかからなかったことなどにより経費が節約でき、次年度使用額が生じた。
次年度は、今年度までに候補としてあがったHif1αの下流遺伝子の発現様式の詳細、さらにはノックアウトマウスの作製を行いたい。残り予算はそれらの費用とする。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Glycolytic activity is required for the onset of neural plate folding during neural tube closure in mouse embryos2023

    • 著者名/発表者名
      Sakai Daisuke、Murakami Yuki、Shigeta Daichi、Tomosugi Mitsuhiro、Sakata-Haga Hiromi、Hatta Toshihisa、Shoji Hiroki
    • 雑誌名

      Frontiers in Cell and Developmental Biology

      巻: 11 ページ: -

    • DOI

      10.3389/fcell.2023.1212375

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] マウス脳由来のニューロスフェア内腔にみられる細胞外小胞の解析2024

    • 著者名/発表者名
      茂田大地、友杉充宏、坂田ひろみ、酒井大輔、東海林博樹、八田稔久
    • 学会等名
      第129回日本解剖学会全国学術集会
  • [学会発表] 母体免疫活性化(MIA)は出生児における炎症性臓器傷害の発症リスクを増加させる2024

    • 著者名/発表者名
      上西夏暉、加藤朝貴、蓮尾瑠菜、舟尾翔、坂田ひろみ、茂田大地、友杉充宏、 酒井大輔、東海林 博樹、八田稔久
    • 学会等名
      第129回日本解剖学会全国学術集会
  • [学会発表] 胎盤を介した母胎間シグナルリレー機構と胎児発生調節2023

    • 著者名/発表者名
      東海林 博樹、八田 稔久
    • 学会等名
      第68回日本生殖医学会学術講演会 シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 迅速かつ非破壊的な組織透明化法RAPを基盤とする新規プロトコルの開発2023

    • 著者名/発表者名
      八田稔久、坂田ひろみ、茂田大地、友杉充宏、酒井大輔、東海林博樹、松原孝宜
    • 学会等名
      第64回日本組織細胞化学会学術集会
  • [学会発表] 胎生期マウス由来のニューロスフェアを対象とした組織透明化技術の開発および3次元イメージング手法の検討2023

    • 著者名/発表者名
      茂田大地、友杉充宏、坂田ひろみ、酒井大輔、東海林博樹、八田稔久
    • 学会等名
      第63回日本先天異常学会学術集会
  • [学会発表] RAP組織透明化法のin situ hybridizationへの応用2023

    • 著者名/発表者名
      坂田ひろみ、茂田大地、酒井大輔、東海林博樹、友杉充宏、八田 稔久
    • 学会等名
      第63回日本先天異常学会学術集会
  • [学会発表] 正常消化管におけるガレクチン-4の発現及び機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      小川 崇, 野中 康宏, 東海林 博樹, 舘野 浩章, 平林 淳, 西 望, 中村 隆範
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会
  • [学会発表] 胎盤ACTHの発現誘導における胎盤CRHの作用2023

    • 著者名/発表者名
      東海林博樹、友杉充宏、坂田ひろみ、茂田大地、酒井大輔、八田稔久
    • 学会等名
      第58回北陸生殖医学会学術講演会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi