研究課題
肥満はがんの発症だけでなく再発や予後に関連することが知られている。特に内臓型肥満はがんの再発への影響は大きく、そのメカニズムの一つとして脂肪細胞が繊維芽細胞成長因子(Fibroblast Growth Factor: FGF)を大量に産生し、がん周囲環境を変化させ血管新生やがん増殖に作用が近年わかってきた。我々は卵巣癌患者を対象とした肥満と再発の関連を検討した臨床研究において、内臓肥満の患者は非肥満患者に比べて再発が多いことを明らかにした。次に卵巣癌患者血清を採取しELISA法にてFGFの発現量を測定する目的で倫理委員会に申請を行い、検体採取を行ったところFGFの発現量とBMI・皮下脂肪・内臓脂肪量についての関連について示唆された。また卵巣癌患者より皮下脂肪および内臓脂肪(大網)組織をコラゲナーゼ処理し遠心分離し、脂肪前駆細胞を単離した上で卵巣がん細胞株と共培養し、増殖能や細胞接着因子などを検討を行っており、現在最終解析中である。次に2~3カ月齢のメスヌードマウスに通常食を摂取させた通常マウスと2ヵ月間高脂肪食を摂取させその後通常食に変更させた肥満マウスの作製した。通常および肥満マウス血清を採取しELISA法によるFGFの発現量の測定したところ、肥満マウスによるFGFの発現量増加を認めた。さらにヌードマウスに卵巣癌細胞株を移植し腫瘍を形成させ約4週間後に腫瘍の重量測定および転移部位の検索、腫瘍パラフィン切片を作製をおこない、EMT関連蛋白にて免疫染色したところ、肥満と癌浸潤関連タンパクとの関連することが示唆された