研究課題/領域番号 |
21K09529
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
村田 紘未 関西医科大学, 医学部, 講師 (00460832)
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研究分担者 |
岡田 英孝 関西医科大学, 医学部, 教授 (80330182)
田中 進 関西医科大学, 医学部, 准教授 (30399472)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 子宮内膜間質細胞 / 脱落膜化 / 子宮ナチュラルキラー細胞 / IL15 / GAL9 |
研究実績の概要 |
排卵後の黄体から分泌されるプロゲステロンは、子宮内膜間質細胞の脱落膜化を促進する。ヒト子宮内膜間質細胞の脱落膜化は胚着床と妊娠の維持に必須の分化である。なぜなら脱落膜化過程でヒト子宮内膜間質細胞はインターロイキン15(IL15)とガレクチン9(GAL9)を分泌し、子宮内膜の主要免疫細胞である子宮ナチュラルキラー(NK)細胞(CD56brightCD16-)の増殖と分化を促すからである。IL15とGAL9が協調して子宮NK細胞に作用し母体胎児間の免疫寛容に重要な役割を果たしていることがわかってきたが、子宮内膜間質細胞におけるGAL9の転写制御機構は全くと言っていいほどわかっていない。 本研究は、脱落膜化過程においてヒト子宮内膜間質細胞が分泌するGAL9の発現動態と転写制御機構を解明することを目的とする。 本研究は関西医科大学倫理委員会によって承認され、正常月経周期のある女性から文書による同意を得た後、婦人科良性腫瘍に対する子宮摘出直後に子宮内膜を採取した。 令和3年度は、ヒト子宮内膜組織におけるGAL9の発現を定量PCR法、免疫組織化学染色およびin situ hybridizationによって検討した。ヒト子宮内膜組織におけるGAL9の発現は、分泌期初期に低下し、分泌期中期からは増殖期と同程度に回復した。さらに、増殖期および分泌期中期子宮内膜間質細胞におけるGAL9の発現をin situ hybridizationならびに免疫組織化学染色を用いて同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究目的であるGAL9の発現動態を解明することができた。
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今後の研究の推進方策 |
もう一つの目的である、脱落膜化過程におけるヒト子宮内膜間質細胞が分泌するGAL9の転写制御機構を解明する。報告者らはすでに独自のin silico解析を用いて、ヒトGAL9遺伝子上流発現制御領域に2個のHeart and neural crest derivatives expressed transcript 2(HAND2)応答性配列と20個のForkhead box O1(FOXO1)応答性配列を見出している。またヒト第17染色体上のGAL9遺伝子とKSR1遺伝子間の3773bpの遺伝子間領域は腫を終えて保存されていることも見出した。今後、脱落膜化子宮内膜間質細胞および未処理の子宮内膜間質細胞を用いて、クロマチン免疫沈降法ならびにレポーターアッセイを用いてGAL9の転写制御機構を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は主に、子宮内膜のパラフィン包埋ホルマリン固定した切片を用いて免疫組織化学的な検討を行った。 令和4年度以降に令和3年に行えなかった子宮内膜間質細胞の培養実験を行うため、培養関連試薬ならびに培養に用いる予定のプラスチック製品の購入が必要となる。
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