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2022 年度 実施状況報告書

メタボローム解析に基づいた卵巣癌腹水におけるがん微小環境の解明と新規治療開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K09532
研究機関山形大学

研究代表者

永瀬 智  山形大学, 医学部, 教授 (00292326)

研究分担者 清野 学  山形大学, 医学部, 講師 (40594320)
太田 剛  山形大学, 医学部, 准教授 (50375341)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード卵巣癌 / 腹水 / メタボローム解析
研究実績の概要

本年度は腹水に特徴的な代謝産物・代謝経路を同定するための初発卵巣癌(高異型度漿液性癌)患者(OC)4例、卵巣漿液性境界悪性腫瘍患者(BOT)2例、子宮筋腫患者(Control)4例から腹水穿刺時または手術時に腹水を採取してメタボローム解析を行った。進行期別にみると、OCはⅡ期1例、Ⅲ期3例、BOTは2例ともIA期であった。子宮筋腫患者より採取した腹水をコントロールとした。候補化合物として251の代謝物が抽出された。階層的クラスター解析を行ったところ、各群間で代謝物の発現に相違を認め、悪性度により代謝産物プロファイルが異なることが明らかとなった。OC群でControl群と比較して有意に上昇していた代謝物は21種類あり、これらの代謝経路はABCトランスポーター、アミノ酸とヌクレオチド代謝、TCAサイクル、グルタチオン代謝、ポリアミン代謝であった。この結果から我々はポリアミン代謝経路に着目し、腹水貯留卵巣癌モデルマウスを用いて進展経路解明と新規治療法開発に向け検討中である。
また、主成分解析では第1主成分(PC1)によりBOT群とOC, Control群が分離され、第2主成分(PC2)ではOC群とBOT, Control群が分離された。PC1はヒポキサンチン、イノシンなどのヌクレオチド類の寄与率が高く、PC2ではプロリン、ピルビン酸などのアミノ酸類の寄与率が高かった。これらの代謝物を用いることでOC, BOT, controlを術前に予測可能なモデルの作製をAI解析で行っている。さらに、再発、薬剤抵抗性症例から腹水を採取し、メタボローム解析を行い、初発症例との比較などの解析を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

メタボローム解析を行い、がんの腹水に特異的な代謝経路・代謝産物を見出すことができた。さらに卵巣癌の診断につながるような代謝物を同定することもできた。今後はポリアミン代謝経路が腹水を介した卵巣癌の腫瘍進展機構でどのような役割を担っているかについて検討を行う。またポリアミン経路を阻害することで腹水産生および腹膜播種を抑制できるか、卵巣癌モデルマウスで検討中である。

今後の研究の推進方策

腹水産生播種モデルマウスにポリアミン経路阻害薬であるDFMOを投与して腹水産生と腹膜播種が抑制されるか否かを検討中である。そのマウスから腹水、腹膜播種を採取してトランスクリプトーム解析で遺伝子発現の変動とpathway解析を行うことで、ポリアミン経路の腫瘍進展機構における機能解析を行う予定である。さらに再発、薬剤抵抗性である症例の腹水と初発卵巣癌患者の腹水における代謝経路・代謝物を比較することで再発、薬剤抵抗に関連した代謝経路の同定を目指して、現在研究を継続中である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 卵巣癌の腹水メタボローム解析に関する検討2023

    • 著者名/発表者名
      堀川翔太、立花由花、奥井陽介、榊 宏諭、 清野 学、太田 剛、永瀬 智
    • 学会等名
      第75回日本産科婦人科学会学術講演会

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公開日: 2023-12-25  

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