• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

メタボローム解析に基づいた卵巣癌腹水におけるがん微小環境の解明と新規治療開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K09532
研究機関山形大学

研究代表者

永瀬 智  山形大学, 医学部, 教授 (00292326)

研究分担者 清野 学  山形大学, 医学部, 講師 (40594320)
太田 剛  山形大学, 医学部, 准教授 (50375341)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード卵巣癌 / 腹水 / 腹膜播種 / メタボローム解析 / 抗がん剤耐性
研究実績の概要

卵巣癌と良性疾患患者(コントロール)の腹水メタボローム解析結果から癌腹水中ではキヌレニン(コントロール比5.8倍)、ウリジン(コントロール比4.4倍)、S-アデノシルメチオニン(コントロール比2.8倍)、アデノシン(コントロール比2.4倍)、リンゴ酸(コントロール比2.2倍)、オルニチン(コントロール比1.8倍)などが増加しており、アミノ酸代謝、ヌクレオチド代謝、TCA回路に関連したエネルギー代謝、尿素回路を含んだポリアミン代謝や様々な物資の細胞内外輸送に関連したABCトランスポーターなどの代謝経路が亢進していることが明らかになった。また、我々は同一症例の卵巣癌患者の腫瘍組織と正常組織を採取し、それぞれメタボローム解析を行ったところ、癌腹水中で産生が上昇していた代謝物は腫瘍組織中でも同様に増加しており、アミノ酸、ヌクレオチド、エネルギー代謝やポリアミン代謝経路の亢進が癌の進展に重要な代謝リプログラミング機構であることが明らかになった。特にアミノ酸代謝経路の変化はグルタミノリシスと言われ、がんのエネルギー代謝変化として重要であるため、その代謝物であるアミノ酸プロファイルが癌組織と癌腹水ではどのような違いがあるかについても検討した。腫瘍組織では、正常組織と比較してヒスチジン、ロイシン、メチオニン、キヌレニン、グルタミン酸、オルニチンなど多くのアミノ酸が正常組織と比較して有意に産生が上昇していた。一方、転移病巣を形成するうえでの培地として着目した腹水のメタボローム解析では、多くのアミノ酸がコントロールと比較して変化がなかったが、キヌレニンのみが有意に上昇していることが明らかになった。測定対象が腫瘍組織、腹水と異なるものの、遠隔転移能を獲得する上でアミノ酸プロファイルが変化し、特に腹水中でのキヌレニン産生の上昇が他臓器への転移病巣が形成に重要である可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 卵巣癌の腹水メタボローム解析に関する検討2023

    • 著者名/発表者名
      堀川 翔太、奥井 陽介、立花 由花、榊 宏諭、清野 学、太田 剛、永瀬 智
    • 学会等名
      第75回日本産科婦人科学会学術講演会
  • [学会発表] メタボロミクスによる卵巣癌組織と生体試料における代謝経路に関する検討2023

    • 著者名/発表者名
      太田 剛、立花 由花、堀川 翔太、奥井 陽介、榊 宏諭、清野 学、砂村 真琴、杉本 昌弘、永瀬 智
    • 学会等名
      第65回日本婦人科腫瘍学会学術講演会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi