①患者由来細胞の細胞株化について、引き続き数例患者からの樹立を試みたが、細胞株の樹立には至っていない。ただし、卵巣癌では細胞株の樹立は成功していないが、子宮頸部胃型腺癌の手術検体からオルガノイドを2症例でオルガノイドを作成することに成功した。このオルガノイドは既に複数回継代しており、ヌードマウスへの皮下への移植も成功した。オルガノイドへの薬剤感受性を検討するために、シスプラチン、パクリタキセル、ゲムシタビンを投与し、これらの薬剤に対する感受性があることを確認した。②選択的SIRT1阻害剤のin vitroおよび卵巣がんオルガノイドでの効果の検討に関してはEX527およびシスプラチンと併用した効果を各種卵巣がん細胞株で検討しているが、有意な変化が得られていない。薬剤の劣化を考え、新規購入し繰り返しているが、抗腫瘍効果がみられなかった。そこで、①でえられたオルガノイドでのSIRT1選択的阻害薬の効果を検討することを現在準備している。まず、子宮頸部胃型腺癌の臨床検体と、正常の頸管腺上皮でのSIRT1タンパクの発現を確認するために、手術検体でのSIRT1タンパクの免疫染色を行った。まだ症例数が少なく、有意差は検討できていないが、子宮頸部胃型腺癌の細胞質にはSIRT1が強発現している傾向があり、今後症例数を増やし発現を確認していく。また、頸部腺癌のオルガノイドのSIRT1の免疫染色での発現の確認では、SIRT1が発現していることを確認している。今後、患者由来のオルガノイドを使用し、SIRT1阻害薬での抗腫瘍効果の検討を行う予定である。患者由来のオルガノイドに関しては卵巣癌に限らず、子宮頸部胃型腺癌や、他の婦人科癌の症例においても同様に作成を試み、薬剤感受性の検討に用いる。
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