研究課題/領域番号 |
21K09543
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
三浦 生子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (00404301)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 母体 / RNA / circRNA |
研究実績の概要 |
私どもは、これまで母体血中のmicroRNA並びにmRNA流入量と産科疾患との関連を報告してきた。本年度は、microRNA並びにmRNAの機能をコントロールしているnon-coding RNAであるcircRNAに着目して研究を進めた。まず、CircRNAデータベース(circBase: http://www.circbase.org/)を用いて、母体特異的circRNAの同定を試みた。胎盤組織、胎児由来の臍帯組織および母体由来の脱落膜組織を集積した。母体特異的circRNAは、胎盤組織並びに胎児由来の臍帯組織と比較して、脱落膜組織(母体由来)で有意に発現量の高いcircRNAとした。データベースサーチの結果、5種類の母体特異的circRNA(circ_0140938、circ_0141060、circ_01416258、circ_0141857、circ_0141927)を同定することができた。circ_0140938、circ_0141060、circ_01416258、circ_0141857およびcirc_0141927のターゲットとなる遺伝子は、それぞれAHNAK、LUM、GBP3、BREおよびABI3BPであった。今後は、母体血中並びに脱落膜組織における間葉系幹細胞およびエクソソームに内包されている5種類の母体特異的circRNA量並びにそのターゲット遺伝子の発現量を解析して、産科疾患との関連を明らかにしバイオマーカーとしての可能性を探る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はデータベースサーチを利用することにより、5種類の母体特異的circRNAとそのターゲット遺伝子を同定することができたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で実験に使用する物品の入手が遅れた。今後、脱落膜組織における間葉系幹細胞、エクソソームを単離し、研究計画に沿って母体特異的circRNAの発現量を明らかにする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、脱落膜組織における間葉系幹細胞およびエクソソームを単離し、それぞれの細胞中の母体特異的circRNAの発現量を明らかにする予定である。また、母体血中における間葉系幹細胞およびエクソソームを単離し、それぞれの細胞中の母体特異的circRNAの発現量を明らかにする予定である。そして、間葉系幹細胞およびエクソソームにおける母体特異的circRNAが産科疾患のバイオマーカーになりうるのか明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で実験に使用する物品の入手が遅れたため、間葉系幹細胞とエクソソームの単離を行うことができなかった。そこで、本年度はデータベースサーチにより母体特異的circRNA並びにそのターゲット遺伝子の同定を優先して行った。そのため、次年度は、母体血液並びに脱落膜組織における間葉系幹細胞とエクソソームの単離を行い、また、母体特異的circRNAの発現パターンをPCR解析およびシークエンス解析で確認する作業を行うため、それら実験に使用する物品を購入するので、今回生じた次年度使用額は適正に使用される予定である。
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